主な質疑
現在の会計処理は単年度会計。正確な行政コストや財務状況を把握でき、予算の選択と集中を促進する複式簿記に進化させてはどうか。 |
財務部長
複式簿記の導入に当たっては、現行の財務事務の情報に複式簿記の情報を加えて同時に行うことが必要になる。財務会計システムの改修などに多くの費用が掛かるため、現行制度を活用しつつ、予算の優先順位を踏まえて行っていきたい。 |
市職員がコスト意識を持つ方法として、自分の時給がいくらで、取り組んでいる事業が一時間当たりいくらになるのかを意識できる方法を考えてはどうか。 |
総務部長
コスト意識については、既に事務事業評価や外部評価の調書作成の中で職員に意識付けを図っている。今の提案を参考に、さらに職員の意識が高まるような方法を考えていく。 |
厚木市は、生物多様性地域戦略の策定を始めた。全国で何例目か。 |
環境みどり部長
埼玉、千葉、愛知、兵庫の四県、市では名古屋市と流山市の二市が策定している。 |
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以下は、質疑全文です。
高田 浩議員 (登壇)私は、今回、次の質問を通告しております。
(1) 環境政策について
ア 生物多様性基本法について
(ア)市の取り組みは。
イ ごみ集積所について
(ア)マナー向上の方策は。
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(2) 財務書類の活用と公表について
ア 説明責任の履行について
(ア)市の取り組みは。
イ 財政の効率化と適正化について
(ア)課題は何か。
ウ 職員の意識改革について
(ア)コスト意識向上の方策はどうか。 |
2008年5月28日に生物多様性基本法が制定されました。そこで、私は、早速2008年9月議会において生物多様性基本法をもとにした市民有識者会議の設置を提案いたしました。生物多様性基本法第21条第2項は次のとおり書かれております。「国は、生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する政策形成に民意を反映し、その過程の公正性及び透明性を確保するため、事業者、民間の団体、生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関し専門的な知識を有する者等の多様な主体の意見を求め、これを十分考慮した上で政策形成を行う仕組みの活用等を図るものとする」とあります。この民意の反
という一文について厚木市の取り組みをお尋ねいたします。
(名切文梨議員退席)
次に、財務書類の活用と公表についてですが、総務省がことし3月に発表した地方公会計の整備と公表についてをもとに質問いたします。
この質問の目的は、厚木市の財政の姿をより精密に算定すること、その方法を探ることにあります。地方公共団体の会計処理は現金の収支を基準とした現金主義であり、単年度会計です。一方、企業会計は、発生した事実に基づく発生主義です。地方公共団体の予算決算制度に発生主義に基づく財務書類を整備することによる効果は、正確な行政コストの把握や資産、負債の一覧的な把握、連結ベースによる財務状況を把握できることが指摘されております。
この地方公会計の整備と公表についてにおいて、財務書類の分析をもとにして資産形成度や世代間公平性、持続可能性、効率性、弾力性、自律性はもちろんのこと、住民ニーズや行政サービス、財政運営上の目標設定、受益者負担の適正化、予算編成や議会での活用、職員の意識改革などさまざまな分野にわたる提案が行われております。財務書類は、その活用方法によっては、将来世代に残る資産や将来世代と現世代との負担分担、政策持続性、あるいは行政サービスは効率的に提供されているか、受益者負担の適正さなどを分析することができます。
さらに、事業別、施設別に行政コスト計算書を導入することによって、指定管理者制度や民間委託の導入、検討の際に行政と民間のコスト比較をすることができます。また、厚木市には、斎場建設計画や厚木市立病院の建てかえ計画、ごみ中間処理施設建設計画などが控えております。未確定債務の算定により将来負担が見えてきます。将来にわたる精密な財政の実情を知ることにより、私たち議員も政策提言や要望に反
させることができます。市民への説明責任や職員のコスト意識につなげることもできます。財務書類は本質的な内部マネジメントの道具、ツールになります。わかりやすい明快な答弁を期待しております。よろしくお願いいたします。
◯石射正英議長 市長。
◯小林常良市長 (登壇)ただいま高田浩議員から、環境政策について、生物多様性基本法について、市の取り組みはとのお尋ねでございますが、この取り組みにつきましては、生物多様性基本法の規定に基づき、長期的な展望に立った生物多様性地域戦略の策定を目指しており、本市は他市に先駆けこの検討を始めたところでございます。本年度につきましては、昨年度の有識者の皆様による意見交換会などの経過を踏まえ、検討委員会を設置し、動植物の実情や生息環境などを対象に現状把握と課題の抽出を行ってまいりたいと考えております。
次に、ごみ集積所について、マナー向上の方策はとのお尋ねでございますが、このたびのごみ減量化・資源化新システムの実施に当たりましては、約600回の説明会を開催し、地域の皆様のご協力をいただきながら分別のルールの徹底をお願いしてまいりましたが、一部のごみ集積所で守られていない状況も見受けられます。今後につきましてもごみ集積所のマナー向上を図るため、パトロールの強化を行うとともに、自治会などのご協力をいただき、より一層のルールの徹底を図ってまいります。
次に、財務書類の活用と公表について、説明責任の履行について、市の取り組みはとのお尋ねでございますが、貸借対照表、行政コスト計算書、純資産変動計算書、資金収支計算書の財務書類4表につきましては、平成18年8月に国が示した地方公共団体における行政改革の更なる推進のための指針などにより、その作成及び公表について、平成21年度内の実施を要請されていたところであります。
本市におきましては、総務省改訂モデル方式による平成20年度決算に基づいた財務書類4表を作成し、平成21年12月にホームページや市政情報コーナーなどにおいて公表したところでございます。
次に、財政の効率化と適正化について、課題は何かとのお尋ねでございますが、財務書類4表から明らかになる課題といたしましては、土地を除く資産の取得に対する減価償却累計額の割合が高くなっていることから、施設の老朽化が進んでいることが認識されるところであります。
(名切文梨議員復席)
したがいまして、将来的には個別の行政コストの詳細な把握を行うことで、施設管理の効率化や計画的な施設整備等に役立てる必要性があると考えております。
次に、職員の意識改革について、コスト意識向上の方策はどうかとのお尋ねでございますが、まずは職員一人一人が財務書類4表の理解を深め、発生主義の考えによる行政コストとしての人件費、物件費、減価償却費等に対して行政サービスが効率的に提供されているかを検証することにより職員のコスト意識の向上を図ってまいります。
◯16番 高田 浩議員 答弁ありがとうございます。生物多様性基本法に基づいて昨年から市のほうで取り組みをしているとの答弁ですが、それは全国的にもかなり早い取り組みだと思いますが、全国、あるいは県内で何例目でしょうか。
◯植松 茂環境みどり部長 生物多様性地域戦略につきましては、全国的には県レベルで埼玉県、千葉県、愛知県、兵庫県の4県が実施、策定をしてございます。市レベルにおきましては愛知県名古屋市と千葉県流山市の2市が策定をしております。また、検討を始めたところにつきましては数市ありまして、この取り組みにつきましてはかなり戦略的な事例だと感じております。
◯16番 高田 浩議員 今おっしゃったとおり、かなり先進的な事例だと思います。昨年から取り組んでいるそうですが、環境と一言で言っても多岐にわたりますし、さまざまな分野がありますけれども、どのような方法でメンバーをリストアップしたのでしょうか。
◯植松 茂環境みどり部長 このメンバーの選考に当たりましては、昨年度、自然団体の各分野の代表者によります準備会を開催いたしております。委員会の構成メンバーの中から抽出を行いまして、その中から推薦をいただいたそれぞれの分野で活躍をされている候補者を決めさせていただきました。なお、選出に当たりましては、各分野のご意見がこの戦略に十分反映されるよう配慮していく考えでおります。
◯16番 高田 浩議員 先行モデルも極めて限定的ですし、しかも法律ができたばかりですから難しい作業ではあると思いますけれども、その名称はよくわかりませんけれども、市民による会議、いわば不確実性のもとに物事を進行し、決定しなければならないという性格の会議になると思います。厚木市の環境について現状を調査して課題を分析して、あと戦略的な意思決定の概念というものをよく理解する必要があります。
この戦略的意思決定の概念というものをよく共通認識としていただきたいのですが、この点を私は大変重要視しております。お考えはありますでしょうか。
◯植松 茂環境みどり部長 まず、生物多様性の現状でございますけれども、自然環境の悪化に伴いまして生物の多様性がこれまでにない速さで刻一刻と失われつつあります。こういった中で本市は、豊かな自然環境に恵まれており、多くの生物が生息しており、将来にわたりこの豊かな環境を享受できる社会の実現を目指しております。
これにはまず、こういった共通認識のもと、現状把握と課題の抽出を行う必要がございます。こういった中で今年度、各分野の専門家の方々にお願いして検討委員会を発足して、本市の地域特性を生かした地域戦略を視野に入れた取り組みを進めてまいりたいと考えております。
◯16番 高田 浩議員 お集まりになる方はやはり見識のある方ばかりだと思いますけれども、意思決定は、一番単純なことを言えば、例えば賛成か反対かとか、あるべき論を並べるという方法もありますけれども、そういったことではなくて、戦略的な思考方法ということを共通認識として進めていただきたいと。この取り組みについては大変期待しております。よろしくお願いいたします。
あと、ごみ集積所についてお尋ねいたします。厚木市全体のごみ出しのルールという視点で見た際、先ほど登壇でも触れられましたが、現場の声、ごみ収集員、担当職員の声が耳に入ってくると思いますが、いかが思っていますでしょうか。
◯植松 茂環境みどり部長 まず、市の全体のルールから見た視点ということでございますけれども、昨年度実施をいたしましたごみ減量化・資源化新システムの実施に伴いまして、全世帯にパンフレットの配布、また600回に及びます説明会、また搬出ルールの余りよくない集積所での立哨指導を実施したことによりまして、分別やルールにつきましては浸透しつつございます。しかしながら、一部の集積所で、まだマナーが守られていないところや夜間の不法投棄がされやすいところもございますので、これらにつきましては、生活環境上住民に多大なご迷惑をおかけいたしますので、自治会や地域の皆さんと連携をとりまして、さらに対策を講じていく考えでございます。
◯16番 高田 浩議員 私が市民から相談を受けた事例ですけれども、その集積所に行ってみましたら、いわば何でもありの状況だったのです。もっと平たく言うとノールールというか、何でもありの状態でした。布団やら自転車とか事業系ごみなどが、恐らく地域外の人からの持ち込みだと思うのですけれども、かなりありました。生ごみもたくさんありました。
こうした事例を最も知っているのが収集を担当している職員だと思います。ごみはごみを呼びますので、できるだけきれいな厚木市にしていきたいものですけれども、まずはごみ収集の担当職員から、そうしたいわば目に余るような事例も知っていると思うのです。ですから、まずそういった職員から情報を収集して、今後どのように自治会と協力しながら進めていくかということを念頭に、職員から情報収集することをまず考えてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。
◯植松 茂環境みどり部長 ごみ収集員や自治会から既にマナーの悪い集積所につきましては把握をしてございます。このごみ集積所が設置してある場所によりまして状況はかなり違いますので、対応といたしましては、個々のケースに合った対策を今後講じていくということでございますけれども、厚木市といたしましても、この情報把握に努め、自治会の皆さん、また地区の皆様と連携をとりながら対策をとっていきたいと考えております。
◯16番 高田 浩議員 よろしくお願いいたします。
次に、財務書類についての質問に移ります。新地方公会計制度が総務省によって提案されています。まず提案されてきた背景ですが、そもそもそれが何であるのか、わかりやすくお話しください。
◯高梨 良財務部長 お尋ねの件でございますけれども、平成18年6月に施行されました行政改革推進法におきまして、国はもとより、地方に対しましても資産及び負債の改革を求められたということがございます。
そして、地方公共団体の会計でございますけれども、現金主義ということで、単年度の歳入と歳出の均衡をとらえる仕組みになってございますので、地方自治体が整備いたします施設、道路、公園の資産、また、この整備に当たりまして借り入れます負債がどういうふうになっているかというのが少しわかりにくい形になっております。そのため、資産、負債、コスト、それから将来負担がわかりやすいのがやはり企業会計になりますので、この企業会計の手法による財務書類の作成につき総務省のほうから通知がございまして、平成20年度決算に基づく財務書類の4表を全国の自治体が作成したところでございます。
先ほどもありましたけれども、この財務書類の4表からはいろいろな情報が把握できますので、財政運用へ活用すること、それとあわせまして、公表することによりまして市民の皆様に財務状況を提供することができると思っております。
◯16番 高田 浩議員 総務省の提案から、それをヒントに議員資料請求をしたのですけれども、平成21年度ベースで厚木市と大和市、茅ケ崎市の行政コスト計算の比較を少ししてもらいました。その数字から単純かつ素朴な質問をいたします。
なぜ厚木市と茅ケ崎市、大和市かというと、神奈川県内で人口がほぼ規模が近くて、しかも単年度会計であるということから、厚木市を含めて3つを比較しました。市民1人当たりの負債額は、茅ケ崎市は24万5594円、大和市は27万8871円、厚木市は38万5000円です。厚木市は全国的にも財政力指数がトップクラスの自治体ですが、なぜこの3市で比較した場合、市民1人当たりの負債額が大きいと出るのでしょうか。
◯高梨 良財務部長 恐縮ですけれども、今1点資料請求の中で厚木市の数字が38万5000円と言われたのですけれども、30万8500円でございます。
今の負債額に関してのお尋ねでございますけれども、お話がございました2市に比べまして厚木市に関しましては予算規模が大きいことに伴いまして、市民サービスの向上のためにインフラ整備を積極的に行ってきているところでございます。そういうことになりますと、普通建設事業費がやはり多い。そういうことになりますと、その事業を進めるに当たりまして、やはり借り入れの市債も多いということになりますので、他の2市より負債の額が多くなってございます。
なお、今申し上げましたのはあくまでも普通会計ベースのお話でございまして、実際これを特別会計、それから外郭団体も含めました連結ベースで見た場合には2市よりも厚木市のほうが負債額は少なくなるということでございます。
◯16番 高田 浩議員 次に、目的別市民1人当たりの行政コスト比較を見ると、生活インフラでは、茅ケ崎市は市民1人当たり2万3540円、大和市は市民1人当たり3万7952円、厚木市は市民1人当たり5万1023円です。教育について、茅ケ崎市は市民1人当たり2万3640円、大和市は市民1人当たり2万7119円、厚木市は市民1人当たり3万8944円です。福祉については、茅ヶ崎市は市民1人当たり6万9490円、大和市は市民1人当たり8万2549円、厚木市は市民1人当たり9万2501円です。環境衛生や消防、議会についての市民1人当たりのコストはほぼ同列です。このうち、生活インフラについては今少しおっしゃいましたが、生活インフラと教育、福祉についてお尋ねします。
厚木市と大和市、茅ケ崎市を比較対象とした場合、市民1人当たりの支出という点で見たら、なぜ厚木市の支出が大きいのか、行政サービスは効率的に提供されているのかの視点からお話しください。
◯高梨 良財務部長 お尋ねの件でございますけれども、厚木市の特性といたしまして、やはり市域の面積が広い。それから河川も多くございます。それから住宅につきましても各地区くまなく広がっております。こうした状況を踏まえ、他の2市と比較いたしますと、生活インフラに関しましては、道路の延長、面積、それから橋脚といったものがやはり多うございます。それから教育につきましても、やはり小・中学校、それから公民館の数も多いということで、身近なところで行政サービスが受けられるようになっていると思っております。
また、福祉に関しましては、老人憩いの家、それから児童館等の施設もやはり多く、またソフト面でいきますと、かなちゃん手形、それから子育て支援の関係の施策、厚木市独自の施策というものも展開していることから、幅広くきめ細かなサービスの提供ができていると考えてございます。
◯16番 高田 浩議員 次に、総務省による地方公共団体における財務書類の活用と公表についてをもとにした質問に戻します。行政コスト計算書を事業別、施設別に細分化して正確なコスト計算を算出しているほかの自治体の例があります。例えば静岡県浜松市の例なのですが、図書館で人や物に係るコストのほか、貸し出し1冊当たりに対するコストを算出して職員のコスト意識を高めるためにも使われているそうです。厚木市では図書館における貸し出し1冊当たりのコストをどのように自己評価し、また活用しているか、浜松市と同様に算出できるか、お尋ねいたします。
◯高梨 良財務部長 新たな公会計制度の導入につきましては、基準モデルと改訂モデルの2つがございまして、いずれも総務省のほうから推奨された経緯がございまして、本市におきましては総務省の改訂モデル方式を採用してございます。この方式でありますと、目的ごとの行政コストの算出はできるわけですが、施設ごとの行政コストの算出にはまだ至っておりません。このため、お話がございました図書館の実施しております事業のコストについては算出していないところでございますけれども、今、議員のほうから他市の状況についてのご質問をいただいたところでございますので、他市の状況も参考にしながら工夫を加えていきたいと考えております。
◯16番 高田 浩議員 次に、受益者負担を例に出します。受益者負担の適正化と施設管理の効率化の一例として千葉県の浦安市が文化会館の施設利用料を検討した事例があります。稼働率や使用料収入などからも総合的に検討したようであります。行政コスト計算書によって受益者負担の割合が算出できますが、平成20年度の厚木市文化会館の受益者負担の割合は何%でありましたでしょうか。
◯高梨 良財務部長 恐縮でございますが、ただいまご答弁申し上げましたように、施設ごとの行政コストについては算出してございませんので、厚木市文化会館、個別の受益者負担の割合も数字は持ち合わせてございません。こちらにつきましても今後工夫していきたいと考えてございます。
◯16番 高田 浩議員 厚木市の場合、今の状況は、全体の受益者負担は出るけれども、個々のものは出ないという状況ですね。
新地方公会計制度、総務省方式改訂モデルによる平成20年度厚木市の財務書類4表が平成21年12月に公表されました。これを何年か続けながら、固定資産台帳の整備やそもそも何を資産、対象とするかなどの検討を重ねる、また公会計に多くの職員が携わる方法をリストアップするといった段階的な整備を進めていくことが望ましいと考えますが、いかがでしょうか。
◯高梨 良財務部長 お尋ねの件でございますけれども、平成20年度決算に基づく財務書類の4表を作成し、公表いたしましたが、次年度以降作成することで資産やコスト等の経年比較ができるようになるものと考えております。これらの比較数値を分析し、中長期的な資産管理の観点から段階的に施設の固定資産台帳整備を進める必要があるものと考えております。
また、財務書類4表につきましては、企業会計的な手法で作成しておりますので、職員だれでもが読み取れるものではないと認識してございます。これまでは財務部と関係部の職員が中心になっておりましたので、研修もこの範囲の職員にとどまっておりましたが、いろいろな形での活用が考えられることから、職員一人一人が財務書類4表を理解することが大事だと考えております。今後は全職員がかかわりを持てるようにするため、関係部と連携を図りながら、職員の研修の場を設けるなど対応してまいりたいと考えてございます。
◯16番 高田 浩議員 自治体、地方公共団体において単年度会計というのは明治から続いているようですので、一足飛びに複式簿記にというのはなかなか無理なことは承知しておりますし、そもそも企業会計をそのまま適用するわけにもいきませんので、財務部長がおっしゃったとおり、段階的に皆さんもなれながら進めていただければと思います。
あと、会計管理者にお尋ねいたします。単年度会計、現金主義会計で決算を作成して、それをバランスシートや行政コスト計算書、キャッシュフロー計算書を作成する方法では手間がかかることが想像できます。だとしたら、日々の会計処理を複式簿記、発生主義としたら手間がかからないかと思います。
しかし、今も申し上げたとおり、行政に企業会計をそのまま適用するわけにはいきませんので、何を対象にするかとか、さまざま検討が必要だと思いますが、地方公共団体における複式簿記、発生主義会計の導入について会計管理者の見解をお尋ねいたします。
◯高橋修一会計管理者 複式簿記、発生主義会計の導入については会計管理者としての所管ではございませんので、その見解は控えさせていただきたいと思います。ただ、仮にそういうふうになった場合の見解は述べさせていただきたいと思います。
現在の現金主義から発生主義の会計になりましても、公金管理や支払い事務については何ら変わることはないと考えております。また、複式簿記になりましても、現在の財務オンラインシステムを変えるというのが大前提になろうかと思いますけれども、そういうことになれば、またそのシステムで速やかな支払いができるものと今は考えております。
◯16番 高田 浩議員 もう1回お尋ねしますが、単純にどちらが手間がかかるかという話なのですが、最初から複式簿記にしたほうが手間がかからないと思いますが、いかがでしょうか。
◯高橋修一会計管理者 現在のシステムで速やかな支払いができているわけでございますので、今まだ想定の範囲内でどちらが速いかとか、そういうことを議論する段階ではないということで、この場の見解はそういうことで控えさせていただきたいと思います。
◯16番 高田 浩議員 参考までに、東京都が手間をかけて単式簿記から書きかえをしたのです。だったら、それを複式簿記にということで制度を切りかえたのですけれども、それをぜひ参考にしてください。
あと、副市長が昨日、厚木市には多くの公共施設があり、受益者負担のあり方を内部で検討しているとおっしゃっていましたが、複式簿記にすることによって事業ごとや施設ごとの受益者負担割合を算出して、それを分析することができます。ですから、受益者負担を見直すとしたら、それの客観的なデータになるわけであります。複式簿記は予算の集中と選択を促進する大変有効な道具となります。
厚木市も何を対象とするかを十分時間をかけて検討して、何年か後に単式簿記から複式簿記へといわば進化させることを検討してはどうかと思いますが、いかがでしょうか。
◯高梨 良財務部長 ただいまのお尋ねは複式簿記の考えを導入するというようなお尋ねかと思いますけれども、導入に際しましては、現行の財務事務の情報に複式簿記の情報を加えて同時に行うことが必要になってまいります。そのためには実は財務会計システムの改修など多くの費用がかかることになりますので、現行の制度を活用しつつ、基準モデルへの移行等、予算の優先順位を踏まえつつ行っていきたいと考えてございます。
◯16番 高田 浩議員 私は、厚木市のサーバーだとかコンピュータのシステムについて何回か取り上げましたけれども、どうも話をしていると、最後には何かするときにはサーバーだとかコンピュータシステムとか、そういったものが立ちはだかるというのが時々あることがわかりまして、今回もそういうことであるということが、今、財務部長の答弁からよくわかりました。別に来年とか再来年というわけでなくて、まず職員の皆さんのなれということもありますし、何を対象とするかという検討も必要ですので、いずれは考えていただきたい。予算の選択と集中を促進するためのツールとして考えていただきたいと思っております。
あと、財政の効率化と課題を追求していくと、一般的に削る対象となりやすい、その1つが文化事業費だと思います。過去5年間の一般会計に対する文化事業費の割合を資料請求で見させていただきましたが、一般会計における文化事業費の割合について、数値目標と言っていいかどうかわかりませんが、何%ぐらいが望ましいという目標数値がもしありましたらお話しください。
◯高梨 良財務部長 お尋ねの件でございますけれども、文化事業費につきまして、いわゆる行政施策の中でも大切な施策の1つだと考えております。
それと、文化事業費につきましては、芸術文化、伝統芸能、それから生涯学習など、幅広い分野というか、幅広いものがあると認識してございます。そういった中では、やはり少ない事業費で事業を推進できるものもあるのかなと。そういう意味からすれば、事業費の割合でなくて、個々の文化事業の内容によって目標を設定していったほうがいいのではないかというふうな考えもあるのではないかと思っております。
◯16番 高田 浩議員 予算編成上、大変ご苦労のある分野だとは思います。
また、文化に関係することですけれども、厚木市は絵画などの美術品を財産としてたくさん持っております。ただ、持っているものの、展示する機会が乏しいことが潜在的な課題であると私は前々から思っておりました。価値のあるものを持っていても、ただ長期間しまっていてはがらくたと同じです。家の中にいいものがあったとしても、押し入れの中にしまっておいては余り意味がない。厚木市の財産を見せる方法を考えてはどうかと思っています。美術品は見られることで価値が高まるとも思います。美術品を倉庫にしまい込むのではなくて、見せる収納という発想を持ってはどうかと思います。
私は、これまで海外の個人宅に相当数行っていて、並べ方とか飾り方とか、そういったものに工夫があることを感じたことがありました。家の中がちょっとした美術館だなとも感じるようなことがあったのですけれども、それは家の大きさの問題ではありませんでした。
私は、厚木市が持っている美術品を公民館や市民ギャラリー、文化会館など循環させる方法を考えてはどうかと思っております。いかがでしょうか。
◯今井俊雄社会教育担当部長 大変貴重なご提案をいただきました。たくさんの点数の絵画等は郷土資料館で保管をしてございます。そういった中で常設展、特別展、巡回展等を開催しておりまして、昨年度につきましては、特別展示会を3回、あとホールの展示、小さいホールですけれども、5回郷土資料館の中で開催しております。今年度につきましては常設展示を2回、それと郷土資料館の中の小ホールを使いました小規模の展示会を24回開催する計画になってございます。また、市民ギャラリーを使ったような展示ということでございますけれども、平成20年度には浮世絵の展示と印刷の講座を兼ねた形で開催をしております。
点数がありまして、なかなかすべてを一度に、順繰りにということはできませんものですから、展示の目的とかいろいろなそういったものの切り口の中で展示するものをそれぞれ選んでまいります。ですから、なかなか切り口にならない場合には長く展示ができないと思います。今年度につきましては、公民館にも出張展示をするような形で考えております。そういった中でできるだけ展示、市民の皆様方に見ていただけるような工夫はしてまいりたいと考えております。
◯石射正英議長 高田議員、通告の範囲でお願いいたします。
◯16番 高田 浩議員 いわばわかりやすく言うとバブルのときとか、随分美術品を購入したとも聞いておりますが、そうした厚木市の財産をまず購入したものとか、あるいは寄附されたものも相当数あるのではないかと思います。そもそもそのリストがあるのかなと。職員でどれだけそれを知っている人がいるのかというのを時々思うことがあるのですけれども、まずリストアップして品定めをする、それで基準を決めていくことが必要だと思います。
その次に、コスト意識を持つ方法ですが、コスト意識といってもいろいろな方法がありますけれども、個々の職員が、自分の時給は幾らで、取り組んでいる事業が1時間当たりにして果たして幾らになるのか、そういったことを換算して意識できる方法を考えてはどうかと思っております。担当職員自身による施設別、事業別のバランスシートが作成されるまでに至れば、それが一番望ましいことです。こうしたことを行っている自治体も実際あります。それには財政課のバックアップが必要だと思います。自分の身の丈に置きかえて考える最も単純なところからスタートすることが望ましいと思いますが、いかがでしょうか。
◯奈良庸文総務部長 コスト意識を持って仕事をするということにつきましては、非常に重要なことだと思います。また、職員も日ごろからそういった意識を持ちながら業務に携わっていると思っておりますけれども、現在のような景気の状況下にありましては、常に費用対効果であるとか、コスト削減であるとか、軽減であるとかといったようなことをより真剣に考えながら仕事を進めることが大事であるとも思っております。
ただいまご質問がございましたコスト意識を持たせる方法につきましては、既に事務事業評価であるとか外部評価の調書作成の中で職員に意識づけを図っている部分もございますけれども、今後におきましても議員ご提案の事項も参考にさせていただいて、こういう事業の取り組みの中で職員の意識がさらに高まるような方法を考えてまいりたいと思います。
◯16番 高田 浩議員 ぜひよろしくお願いします。コスト意識については、私も議員になる前に時折上司から言われていたことでありますし、別に民間がコスト意識があって、行政がないなどということは申しません。ただ、その方法をぜひ考えていただいて、自分の身の丈に置きかえるということを考えていただきたいと思っております。 |