提訴された厚木市議会議長は、和解の道を
活動ノート

 寺岡まゆみ議長(公明党)が名切文梨議員(立憲民主党/議会内の会派:あつぎの会)に訴えられました。厚木市立病院についての発言が市HP会議録から削除されたことについてです。私は、「戦うのではなく和解の道を探って欲しい」と願っています。神奈川新聞産経新聞が記事にしています。以下1が主たる論点であり、裁判に至った場合のマイナスの波及効果を危惧します。

1.市HP会議録からの削除は、憲法21条に抵触しないか?
2.裁判の結果は、厚木市の汚点にならないか?
3.議長と市の裁判費用(市の負担)+ 市職員の残業代増加 = 税金の浪費

 市HP会議録は、市民に市議会の全容を知らせる社会の公器です。裁判所が発言削除を「住民の知る権利(憲法21条)の制約」とした場合、判例として厚木市の汚点となります。法学研究者にとっても注目を集める裁判になるでしょう。名切文梨議員の発言は厚木市立病院にとっては「看過できない」としても、市民に隠すほどの質疑と答弁なのか。判決によっては、「地方議会は、いわば自由に情報操作が出来ることを裁判所が認めた」、「地方議員のなり手不足の遠因にもなりかねない」などといった内容で論評される可能性も否めません。
 厚木市立病院について作文を書いた中学生の氏名と学校名を伝えることも争いの一つとなっています。しかし、根拠や情報源を明示しない質疑・質問は、地方議員の誰もが行っている事だといえます。その一例として、「漏れ聞くところ」を厚木市議会会議録でキーワード検索すると7件ヒットします。議員や市職員の発言です。それら発言もアウトなはずです。
 また、被告の裁判費用は、全て市予算からの支出となります。弁護士への報酬額は、地方裁判所(一審)の分だけでも200万円前後となる可能性があります。厚木市はこれまで、裁判費用を年度予算の予備費から支出しています。つまり、予算案として表に出て来ないため、そもそも裁判が行われた事自体及びその費用は、議員も市職員も関心を持って調べない限りわかりません。加えて、市職員は、弁護士が求める大量の資料作りを余儀なくされます。
 削除された発言のような行為が厚木市立病院においてあったか否かは、関東信越厚生局(厚生労働省)に調査してもらう方法もあると思われます。
 現時点で、訴状は厚木市に届いていません。しかし、新聞記事を読む限り、被告は寺岡まゆみ議長と厚木市(国家賠償)になると読み取れます。以下は、受け取って頂けませんでしたが、作成した申出書です。過去の判例を基にして書きました。

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2021年(令和3年)3月12日

厚木市議会議長 寺岡まゆみ様
厚木市長 小林常良様

厚木市議会議員
高田ヒロシ

提訴した名切文梨議員との和解を(申出書)

 名切文梨議員(会派・あつぎの会)は2月26日、議会における質疑(2019年12月20日)が「不穏当発言」とされ、厚木市HP上の会議録から削除されたことについて、横浜地方裁判所に提訴しました。 
 主たる被告になると思われる寺岡まゆみ議長(会派・公明党)は小林常良厚木市長や見識を持つ方々と相談の上、戦うのではなく和解の道を探る事をお勧めします。

1. 市HPからの発言削除は、「住民にとって知る権利の制約」との見方もある
2. 「判例変更」となった場合、厚木市の汚点となる
3. 予算の浪費(裁判費用は市の負担。資料作成に伴う職員の残業代も増加。)

 被告に不利な判例として、「愛知県議会の議事録から議員の発言削除命令事件」があります。その愛知県議の訴えについて、名古屋高裁判決では、「議会外にも配布される会議録に発言が記載される権利は、議会内部にとどまらず、一般社会と直接関係し重要」とされました。しかしながら、最高裁判決では従来通りに、地方議会の問題は、「自律的な解決に委ねられるべき」と退けられました。

原告

削除の対象

備考

愛知県議

配付用会議録(印刷版)、県HP会議録、 会議中継録画

名古屋高裁で勝訴

名切議員

 

 その最高裁判決について、自治体HP上の会議録は、「一般市民法秩序と直接関係あり」、「発言削除は、知る権利の制約」などとする法学研究者も少なからずいます。
 2020年11月、「地方議員の出席停止」について、最高裁で60年ぶりの判例変更がありました。司法に変化も見受けられます。なお、名切議員の発言が削除された際の配付用会議録(印刷版/議員などに配布)は、配布されていない状況にあります。

 議長と名切議員がお互いの立場を理解し、最終的には尊重し合うようになることを望みます。どうかお願い致します。

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3月5日
 府川浩明 議会事務局長に面会の設定を依頼。「議長、佐藤登 市長室長(または総務部長)及び議会事務局長には出席して欲しい。井上武 副議長と法務専門官監(弁護士)も出席できればなお良い」と伝えた。法務専門監の出席は、議会事務局長からの提案。
3月11日
 議会事務局長と協議。申出書(案)を見せて、言い回しを若干修正。翌日の面会について、「総務部長は人事で忙しいが、市長室長は大丈夫」と述べていた。
3月12日
 私は、都市経済常任委員会が終了するまで待機。待機している事は、議会事務局長ほか、複数の議会事務局職員にも伝えた。「委員会が終わり、正副議長が待っている」との電話を受け、議長応接室に行ったところ、市長室長、議会事務局長、法務専門監の姿はなかった。事前に欠席の連絡はなかった。
 50分程、議長の話をお聞きした。予め、「まだ、訴状が届いていないため、議長は申出書を受け取れない」と議会事務局長から聞いていた。副議長も申出書を受け取らず、どなたにもお渡しすることが出来なかった。
3月15日
 議員資料請求(弁護士が対応した厚木市の事件名と報酬額)。
3月22日
 2021年2月議会最終日、次年度の予算案に賛成の立場から「裁判費用を予算案と決算に明記を」と課題提起