厚木市環境教育等推進協議会条例
(提案実現)

 私が2017年から厚木市議会で言い続けて来た環境教育等推進協議会が設置されることになりました。条例は2022年3月22日、全員賛成で成立。条例第1条には、協議会設置の根拠として環境教育等促進法を明記。これは、全国市区町村初である可能性があります。
 私たち一人一人や事業者は、地球環境にどう貢献できるのか。協議会がそのアイデアをどんどん出してくれることを期待します。それは、SDGs教育となります。以下は、私の賛成討論(2022年3月22日)です。

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 皆さんにお尋ねします。最近、ステーキを食べましたか? レストランでステーキを注文する、或いは、スーパーマーケットで買う場合、何を基準に意思決定をしますか? 国産、アメリカ産、オーストラリア産、ウルグアイ産の選択肢があった場合、何に着目しますか? 値段でしょうか? 私は、値段も見ますが、どのようなエサで育てられたかに着目します。つまり、エサは牧草なのか、それともトウモロコシなどの穀物なのかです。
 もう一つ、お尋ねします。今年或いは昨年、エビを食べましたか? 日本は、エビの消費大国です。東南アジアでは、エビの養殖のために、マングローブの森が次々に破壊されています。
 私たち一人一人が消費者として何を選ぶか。日々の意思決定によって、世界に影響を与えることが出来ます。同時に、企業の意思決定も大事です。ヨーロッパのスーパーマーケット6社は2021年12月15日、アマゾンの森林破壊を理由にブラジル産牛肉の販売を中止すると発表しました。
 21世紀に生きる私たちは、倫理的消費の思考を持つことが求められます。これは、国連のSDGs持続可能な開発目標の12番目「つくる責任 つかう責任」に関連して来ます。
 私たち消費者に消費者教育を行うと同時に「作る責任」に取り組む事業者を応援する。私は、厚木市がこの方向に進むことを望みます。環境教育は、その基盤となります。
 ただし、環境は、幅が広いです。地球温暖化や自然破壊など、環境問題への対応が人類の生存にとっての課題となっています。
 環境省は、「SDGs 17のゴールのうち、少なくとも13が直接的に環境に関連する」としています。その為にも、環境教育等推進協議会は、有効です。
 環境教育は、ESD「持続可能な開発のための教育」も含んでいます。日本がESDを世界に向けて提案したことをご存知でしょうか? ESDは2002年、南アフリカのヨハネスブルグで開催された「持続可能な開発に関する世界首脳会議」において提案され、各国政府やユネスコの賛同を得て現在に至っています。提案者は、当時の日本の総理大臣・小泉純一郎首相でした。
それでは、地方自治体で何が出来るのか。それは、推進体制を作る事です。そして、体験や行動、想像力、批判的思考、コミュニケーション能力などを育む教育が求められます。その為にも、環境教育等推進協議会は、有効です。
 環境教育等推進協議会は、幾つかの地方自治体が設置済みです。私はこれまで、北海道や札幌市、板橋区、福岡市及び佐世保市へ視察に行ってきました。ところが、毎年調査を行っている環境省としては、カウントできない地方自治体があります。
 地方自治体が環境教育等促進法第8条の2第1項を協議会設置の根拠として行動計画や要綱、条例などに明記しない限り、設置してもカウントできないそうです。ただし、流石にそれに気が付いた地方自治体もありました。私が視察に行った際、「2023年度までには、明記する」と向こうから言って来た地方自治体もありました。
 厚木市環境教育等推進協議会条例案は、その第1条にある通り、環境教育等促進法第8条の2第1項に基づいています。環境省が現時点でカウントできる地方自治体は、北海道、秋田県、山形県、愛知県及び滋賀県のみです。従って、厚木市は、環境教育等推進協議会を設置した全国初の市区町村として環境省からカウントされる可能性があります。その為には、2022年度中に議案となることを望んでいました。ようやく、本日、その採決の日を迎えました。
 ここに至るまでに、私としては2017年3月1日以降、6年の歳月を要しました。2019年12月議会や2020年9月議会の一般質問で、肯定的な答弁を得ました。
 しかしながら、2021年10月12日から12月2日までの間、ここで内容は申し上げませんが、実は舞台裏で様々なことがありました。私はその一ヶ月半において、厚木市役所で働くお二人が持つ底力を実感したことがありました。そのお一人は、行政総務課の岸間俊彦課長です。
 環境教育等促進法第8条の2第1項には行動計画の作成が書かれていますが、2021年11月の段階で未完成の状態でした。それについて、岸間課長は、「協議会を先に立ち上げ、行動計画は後に作成」との解決策を提示しました。
流石、法律への造詣が深く、場数を踏んでいる岸間課長です。私はそれを聞いた瞬間、日本テレビで毎週木曜日19時から放送されている「THE 突破ファイル」という番組を思い出しました。ピンチをひらめき一発で解決する突破術の番組です。私はその後、サーの称号を付けた上で、サー・トッパーマン・岸間課長とお呼びするようになりました。
 もう一人は、霜島宏美副市長です。見事な調整役を担って下さいました。本厚木駅駅北口の駅前交番移設なども担当なさっただけあって、流石だと思いました。キューバ危機を回避したケネディ大統領や莫大な借金を抱えていた米沢藩の経済を復興させた上杉鷹山などの歴史上の人物が脳裏に浮かびました。
 厚木市環境教育等推進協議会において、委員からアイデアをどんどん出して欲しいです。 福岡市の事例ですが、環境教育の対象は、市民、市民団体、学校、事業者、行政だそうです。一例として、若者層へゴミの出し方の啓発を行っているそうです。また、福岡市の各部署で行っている環境教育を分類しているそうです。例えば、下水道事業で、「油ものを直接下水に流さない」とのチラシを作成している場合、自分たちが環境教育を行っていることに気が付くこともあると述べていました。
 また、学校の比重は、20%程だそうです。教育委員会の皆さんに知って頂きたい事として、環境教育というと、「学校に負担が掛かるのではないか」と思われがちにもなり得ますが、福岡市では20%だそうです。
ところで、環境政策課の飯田和久課長は、残念ながら今年度を以て定年退職だと聞いています。そこで、職員課には是非、環境政策課に道なき道を進めるタイプの職員配置を望みます。環境政策を担う職員は、文系理系を問わない広い視野とクリエイティブさが必要です。
 環境政策は大事であることはわかるが、対応は手探り状態。これは大方の地方自治体における実情ではないでしょうか? 政策イノベーションではなく、前例踏襲主義や当たり障りのない政策展開ともなり得ます。
 私が指摘する実情を裏付けるデータがあります。国立環境研究所は2008年9月、「自治体における環境施策への取組みに関する調査」を公表しました。その中で、地方自治体にとって計画の策定・実施にあたって最も困難な事柄は、「必要な人員が不足」  との結果でした。その一方で、職員数を2005年と2015年を比較すると、日本全体では地方公務員数は減少している中で、清掃を除いた環境保全部門の職員は、増加傾向にありました。
 この矛盾した調査結果は、職員数を増やしても賄い切れない現実を物語っています。これが、環境行政が進展しづらい背景です。環境は福祉と同様、1つの行政分野に留まりません。環境の領域は果てしなく広く、個々の専門領域に分かれています。但し、環境と福祉には、真逆ともいえる決定的な違いがあります。福祉には介護事業所やケアマネージャー、ヘルパー、社会福祉協議会、民生委員等がそれぞれの地域毎に多数存在し、地域包括ケア社会の構築が目指されています。
 ところが、環境には専門職や事業所はあちこちに存在しません。その為にも、環境教育等推進協議会は、有効です。
 因みに、道なき道を進めるタイプの例として、財務部の石井正彦部長がいます。私は2020年4月10日、厚木市が持っていた101億円の財政調整基金の活用を霜島副市長に申し出ました。その結果、「コロナに負けない!あつぎ中小企業応援交付金」となりました。
 私はその前日と前々日、石井部長と協議しました。石井部長が肯定的だったからこそ、実現できたと言えます。ニューディール政策の話をしたことを今でも覚えています。
 また、直近の例として、3月1日に答弁した道路部の二宮卓昭部長がいます。私は当日の一般質問において、「市道沿いにある樹木の切り方を工夫して、クマさんや犬、ゾウの様な形にカット。或いは、交通安全対策に」と提案しました。それらは、全国でほとんど例がありません。出来ない理由を並べるのは、簡単です。しかし、肯定的な答弁を得ました。どうか、環境政策課には、道なき道を進めるタイプの職員を配置して下さい。
 3月10日、環境教育常任委員会が開かれました。私は「大学教員をどう選ぶか?」と質問しました。その答弁は、「厚木市内の大学から」でした。厚木市内には、5つも大学がありますので、それは理想ではあります。しかし、市内の大学には、法学部や環境情報学部などはありません。限られた枠の中だけで選ぶのではなく、広く公募してはいかがですか? どのような論文、著書、或いは、学会発表といった研究業績があるのか。或いは、環境に関する何らかの学会に所属しているのかといった学術的視点で見る事が望ましいです。

 以上、私は、学術的な視点も加えて条例案を読み、討論をしました。この条例案に関わった環境政策課や行政総務課、教育委員会、その他部署の皆さんには感謝しています。私は、議案第12号 厚木市環境教育等推進協議会条例に賛成します。