厚木市議 高田ひろし通信 on the web 

厚木市「行政協力報償金」廃止求める
住民監査請求を棄却 「研修旅行も意義がある」 
毎日新聞 1998年12月26日(土)

 厚木市が市内212自治会の各会長に年間平均18万7000円を支払っている「行政協力報償金」や、自治会長の研修旅行の廃止を求めた住民監査請求について、同市監査委員は25日、「報償金は市行事の協力など役務の提供などによって受けた利益に対する反対給付であり、研修旅行も有意義なもので、不当性は認められない」として請求を棄却した。
 報償金制度や公費丸抱えの研修旅行といった自治会長への“特別待遇”は、行政への無条件な協力を強いることになりかねないほか、首長自らの選挙地盤の培養や議会軽視にもつながりかねず、住民の厳しい批判を受けて、大和市や海老名市では相次いでこの種の優遇措置の廃止に踏み切った。今回の監査結果は、「公費丸抱えで観光地への1泊2日のい慰安旅行はおかしい」などという市民の率直な疑問に十分答えきれておらず、住民からの批判はさらに強まるとみられる。
 同市は行政協力報償金の名目で、各自治会長に年間一律9万円と、自治会への加入世帯数に応じて1世帯当たり300円の報償金を支払っている。昨年度は支払総額で年間約3937万円だった。今年度は、212の自治会長に前期分として総額約1992万円が支払われた。
 一方、各自治会長を対象に毎年、視察研修の名目で1泊2日の県外旅行を実施。今年7月の岐阜県内への旅行には148人が参加し、市費約446万円が支出された。また、これとは別に市自治会連絡協議会の理事24人が1泊2日で滋賀県内を視察して琵琶湖畔のホテルに泊まり、1人当たり約3万9000円の費用がかかった。
 この問題で「厚木市政をウオッチする会」代表の鷺谷雅敏さん(48)=同市森の里3=は先月3日、「報償金の供与は、自治会活動の独立性に支障をきたすほか、公金の不当な支出」として廃止を求めて監査請求を出していた。
 監査結果では、「自治会長は市事業の協力など、その労力は多大で事務連絡の仕事も数多い」として、報償金の支出の正当性を認め、研修旅行については、視察先での会議時間が毎年、1時間半から1時間45分程度なのに、「研修会場での質疑応答は活発で視察者が問題解決に意欲的だった」などとしてやはり正当性を認めた。
 この監査結果について、鷺谷さんは「研修旅行の主な目的が慰安ではないかという指摘に正面から結論を出していないなど、大多数の市民意識とかけ離れた結果に驚いている」と批判した。また、財政状況の悪化から行政の事務事業の見直しが進められ、福祉や教育などの予算が削減される傾向にある中、「研修旅行などは真っ先に見直しの対象となるべきだ」という指摘も出ている。【高橋和夫】