入居進まず賃料割引
厚木の3セク テレコムパーク 累積赤字21億円
朝日新聞 1997年9月10日 水曜日
最新の情報通信設備を備えた二十六階建ての「厚木アクスト」=厚木市岡田=への入居が思うように進まず、同ビルを管理・運営する第三セクターの「厚木テレコムパーク」(和田宏社長、市などが出資)が、当初予定していた三・三平方メートル当たり賃料を一ヶ月二万五千円から二万円、一万五千円、さらに一万三千円にまで下げる大幅な割引をしていることが、九日の厚木市議会の一般質問でわかった。賃料収入が見込み違いとなり、累積赤字は二十一億にのぼっていることも明らかになった。
厚木テレコムパークは東名厚木インタ近くの高度情報通信拠点「厚木テレコムタウン」(広さ約五十ヘクタール)を推進するため、一九九二年九月に発足した。厚木市が七億円、日本開発銀行が六億円、県が五億円のほか、民間百数十社が出資、資本金は約五十四億円。厚木アクストは厚木テレコムタウンの中核のビルで、十階から二十五階までは明治生命保険相互が管理、厚木テレコムパークは二階から九階まで計約一万九百平方メートルを管理する。入居が始まったのは九五年十月からだが、入居したのは十一社で全体の四九.三%と半分にも満たない。
この日の市議会で入居率の低さを指摘した高田浩氏(平和・市民)は「賃料を一万三千円にするなど割り引いているが、この格差を入居する企業にどのように説明できるのか」と追求。これに対し、小南茂考・業務核都市・第三セクター担当部長は「全国的な経済情勢から、下げないと入居してもらえない」と答えた。
厚木テレコムパークの九六年度決算(九六年五月一日から九七年四月三十日)は、営業収入一億七千二百万円に対し、営業費用は十一億四千四百万円にのぼる。当期損失だけで十二億六千百万円になり、高田氏は運転資金についてもただした。
小南部長は、市など主要株主が対策協議会を作って対応していると説明し、「二年間の運転資金は何とかなる、入居も春までに埋まることになる」と答弁したが、高田市議は「畑違いな妙なことに手を出さないという大きな教訓にしていただきたい」と注文をつけた。
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