労働者の満足度アップには、@報酬アップ、A責任ある仕事を任される、B顧客や職場内で評価されるなどがありますが、これはBへの手法。サービス・プロフィット・チェーンと呼ばれ、ハーバードビジネススクールのヘスケットらによって示されたモデルです。市役所に当てはめた場合、職員のやりがいを市民の満足度向上につなげる方策です。
アンケートは通常、1年単位で同じ設問を続けて結果を数値化します。例えば、「あなたは職員の説明に満足しましたか?」と設問し、「大変満足、概ね満足、満足、やや不満、不満」などと5段階評価をしてもらいます。サービス・プロフィット・チェーンにおいて、アンケートは従業員にも実施することが提唱されています。これについて厚木市は、「接遇セルフチェックシート」で自己採点する仕組みを考案しました。また、アンケート結果は、エクセルなどのパソコンソフトで職員が集計すれば時間も費用も最小限で済みます。
以上は手法の基本ですが、現実の組織が実施するに際して、他の要素が加わることはあり得ることです。厚木市の場合、アンケート実施期間は100日間。2010年9月18
日・19 日開催の「B-1 グランプリ in ATSUGI」に伴う「ようこそあつぎへ」おもてなしプロジェクトの取り組みの一つとして位置づけられています。
アンケート実施に伴って、最も重要なことは、アンケートの基点と目的が「従業員満足度アップ」であることを個々の従業員に十分伝えることです。これが伝わらないで、アンケートを実施しても、「監視や面倒なことが増えた」と受け取られかねません。この点は、組織が大きければ大きいほど周知に配慮することが望ましいです。
ただ、こうした経営学の手法が公務員にも当てはまるのでしょうか。住民票を取りに来た市民目線では、公務員が間違いなく対応して当たり前でしょう。また、市民の評価よりも組織内の評価が気になる公務員が一定割合いても不思議ではありません。市役所は営利企業ではないので、サービスの質が向上しても利益には直結しません。
しかしながら、賃金を上げられない環境下で、従業員のモチベーションアップに苦心する企業もあります。一人でも多くの職員がアンケートは自分のためであることを理解し、集計結果の移り変わりに働く喜びを見出してくれたら幸いです。そして、アンケート実施期間を一年単位とし、いつしか厚木市民が市役所のホスピタリティ(おもてなし)を感じ始める好循環がうまれることを期待しています。
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