2013年9月議会一般質問
(1)婚姻届や出生届けをプレゼントしては?
高田 婚姻届や出生届の際に、写真や手紙が入る形状のファイルに届出書の控えを入れ、記念品として贈呈することを提案する。検討はできるか。
市民健康部長 提案の物も含め、おもてなし、思い出に残るという視点で検討したい。
(2)ふるさと納税
高田 今年4月から3万円以上の寄附に特典をつけるあつぎ元気応援寄附金が始まった。寄附の状況と1万円で特典付与、及びクレジットカード納付導入は。
政策部長 寄付は8月末現在、15件で382万6329円。1万円でも特典は十分認識している。もう少し経過を見ながら、クレジットカードの導入を含めて前向きに検討していきたい。
(3)子どもたちの国際交流
高田 昨年12月定例会での質問以降の検討は。
市長 来年1月に友好都市である韓国軍浦市の中高生による本市への訪問団が予定されており、その中で活発で有意義な国際交流を図りたい。
(4)特定外来生物
高田 厚木市内における特定外来生物の分布状況の調査、対策立案を提案する。全国に先駆ける先進事例となりえる。
環境農政部長 調査方法を含めて防除等の対策も検討を進めたい。
高田 来年5月から7月の間、オオキンケイギク駆除を厚木市内のどこかで実施する呼びかけを行ってはどうか。
環境農政部長 生物多様性あつぎ戦略推進委員会の場で協議したい。
(5)(仮称)健康こどもの森
高田 工事への配慮と開園後の維持管理に参加する仕組みづくりを目的に、行政、専門家、市民団体および工事関係者によるワーキンググループを行政主導で新設することを提案する。考えはあるか。
河川みどり部長 今後、組織の立ち上げを検討したい。希少動植物に配慮した工事方法などを議論する場として、定期的な開催が望ましい。
◯18番 高田 浩議員 (登壇)皆さんは、ご自分が婚姻届や出生届を出したときのことを覚えていますか。どのようなお気持ちでしたか。届け出の際、もしも厚木市から何らかの記念品がもらえたらいかがでしょうか。この提案が現実のものとなった場合、市民サービスの向上となるでしょう。厚木市民でよかったと感じてもらえるかもしれません。
しかしながら、市民サービスの向上であると同時に、市民課で働く職員にも労働の喜びを実感してもらいたいと私は思っております。行政は最大のサービス産業と言われます。確かにそうですが、地方公務員もサービスを提供することにより喜びを感じる場があってもよろしいのではないでしょうか。私は2010年2月定例会で市民の満足度向上を職員のやりがいにつなげる方策を質問しました。市民に記念品を贈呈する場合、1件当たりの対応時間が長くなるかもしれませんが、そのマイナス面を大幅に超えるプラス面が職員にもたらされる、モチベーションアップになると考えております。
ところで、2020年東京オリンピックが決まりました。これにより首都圏の自治体にとってもいずれ動き出す必要が出てきます。各国チームのキャンプ地が必要となるためであります。私はこれまで厚木市内の小・中学校に駐日大使館員による特別授業を仲介してきました。南アフリカ大使館、オーストラリア大使館、ラオス大使館、ケニア大使館、サウジアラビア大使館などの外交官が厚木市内の小・中学校に来てくださいました。つながりは大切にしていただきたいと思っております。
また、私は、昨年12月定例会でJICAとの協力を質問しました。先月、JICA横浜が校長会に来てくださったそうですが、小・中学校における国際交流を促進していただきたいです。昨年12月定例会では子供たちの国際交流について質問いたしました。その後の検討はいかがでしょうか。
私は昨年2月定例会において、ふるさと納税を活用し市外から寄附をふやす方法を提案しました。これに基づいて、ことし4月から厚木市はふるさと納税に特典をつけるようになりました。素早い対応をしてくださった担当職員には、仕事とはいえ敬意を感じております。理想形まであと1歩か2歩です。見解をお尋ねいたします。
特定外来生物についてですが、アメリカザリガニやアライグマなどは侵略的な外来生物として国が指定しております。特定外来生物に指定された生物を飼育、栽培、保管、運搬、販売、譲渡、輸入、野外に放つことなどは原則禁止であり、違反した場合は最高で、個人の場合、懲役3年以下もしくは300万円以下の罰金、法人の場合、1億円以下の罰金であります。千葉県生物多様性センターでは、ある場所において月2回以上のザリガニ駆除をしているそうですが、完全駆除には至っていないそうです。また、厚木市内にあります神奈川県立自然環境保護センターではザリガニ釣りイベントを開催しております。
私は、ことし5月、特定外来生物であるオオキンケイギクという大変きれいな黄色い花の写真を市内のあちらこちらで撮りました。それをホームページに載せた上で地元自治会長を訪ねました。私の自宅周辺にも見受けられたためであります。私としては来年の課題にしていただければと思っていたところ、その自治会長の動きには驚かされました。まず自治会エリア内で咲いている場所を特定し、あっという間に駆除しました。続いて荻野自治会連絡協議会で議題にしてくださったため、荻野地区の自治会長の皆さんには理解いただき、駆除もしていただいたそうであります。これは1つの事例ですが、特定外来生物の対策について見解をお尋ねいたします。
(仮称)健康こどもの森については、私は、声を出せない動植物の代弁者、一種のネーチャーインタープリターとなる一方、厚木市民一人一人の経済利益を意識しながら質問いたします。
身の周りの環境、生態系、生物多様性のバランスが崩れるとどうなるでしょうか。厚木市民にとってわかりやすい事例としては、猿や鹿、イノシシ、ヤマビルによる被害です。プラスになるはずの野菜は食べられる上、有形無形の個人的支出を余儀なくされます。猿や鹿、イノシシ、ヤマビルの被害は特に経験がないという市民も少なからずいるはずです。私は、厚木の北部に住みながらも、直接的な実害はありません。しかしながら、厚木市は毎年、電気柵に象徴される鳥獣被害対策の予算執行を余儀なくされております。鳥獣被害対策費がなければ市民サービスに予算を振り向けることができます。私たちは通常、自然環境から無料で恩恵を受けておりますが、その恩恵を受けられずに、逆に支払いへと転じている実例であります。
自然から受ける恩恵は生態系サービスと呼ばれております。カナダでは、生物多様性の保全は、その国家戦略において保険であるとされております。プラスであるはずの生態系サービスがマイナスに転じないよう、私たち厚木市民が経済的損失を受けないよう、環境政策を進める質問をいたします。
1990年代後半以降、公共事業に経済評価手法を導入する事例がふえております。資料請求した(仮称)健康こどもの森来場者数十万人と算出したその計算式及び費用便益分析、平日、休日や四季を通じた算出を拝見しました。まずカウンターを設置し人数を把握するようになったことは何よりです。ただし、かける費用に対する便益、つまり公園をつくることによる利益、もっと簡単に言えば11億円使うに値するかについての算出の根拠が明確ではありません。プロジェクトライフ50年について、トラベルコスト法などの環境経済評価を使ったのでしょうか。
しかしながら、今のタイミングでは、費用便益分析を議論するより、実質的に市民にとって望ましい公園となることを議論するほうが現実的でもあります。以上、明快な答弁を期待しております。
◯川口 仁議長 市長。
◯小林常良市長 (登壇)ただいま高田浩議員から、婚姻届や出生届について、記念品について、贈呈を検討してはどうかとのお尋ねでございますが、婚姻届や出生届につきましては、個人の身分関係を戸籍に登録するための重要な届け出であり、より正確な取り扱いを第一に考えております。記念品の贈呈のあり方につきましては、おもてなし市役所を目指す厚木市として、婚姻や出生の届け出が思い出深いものとなるよう検討してまいりたいと考えております。
次に、ふるさと納税について、納付方法について、クレジットカードによる納付を導入してはどうかとのお尋ねでございますが、クレジットカードによる納付につきましては、寄附者の利便性をさらに高め、より多くの寄附を募る上で有効な手段と認識しております。しかしながら、ふるさと納税制度を活用したあつぎ元気応援寄附金は、本年度4月にスタートして間もないことから、今後、納付状況やクレジット納付導入に係る効果を見据えつつ、ほかの自治体の動向を調査した上で検証していく必要があるものと考えております。
次に、子供たちの国際交流について、平成24年12月定例会の質疑以降について、検討は進んでいるかとのお尋ねでございますが、国際交流といたしましては、毎年、本市在住の高校生を韓国軍浦市に派遣するほか、小学生から大学生までの市民主体の交流なども実施されております。お互いの文化を理解し合い、友情のきずなを広げるとともに、国際的視野を広めて、国際協調の精神を養い、次代を担うにふさわしい青少年を育成するためにも、国際交流は重要と認識しております。
なお、交流の計画につきましては、来年1月に友好都市である韓国軍浦市の中高生による本市への訪問団が予定されており、この訪問の中で活発で有意義な子供たちの国際交流を図ってまいりたいと考えております。
次に、環境政策について、特定外来生物について、対策はどうかとのお尋ねでございますが、平成24年度に策定した生物多様性あつぎ戦略においては、基本目標の1つとして、大山から相模川に広がる多様な自然環境の保全と再生を掲げております。特定外来生物につきましては、自然環境の保全に悪影響を及ぼし、特に生態系への被害が認められますので、その種類や特性などについて広く周知を図るとともに、市民、市民団体等の皆様と連携し、防除等の対策を積極的に推進してまいります。
次に、(仮称)健康こどもの森について、実施計画について、どのような課題があるかとのお尋ねでございますが、実施計画では、里地里山の再生と活用を行いながら、生物多様性に十分配慮し、自然体験活動の拠点となる施設の整備を目指しております。課題といたしましては、既に確認されている希少動植物やボランティア団体の皆様のご協力による動植物調査により新たに確認された希少動植物の保護や移植などの対応策が必要であると考えております。
◯18番 高田 浩議員 答弁ありがとうございます。婚姻届や出生届が提出された後、その提出書類をお渡しする方法を提案いたします。提出書類のコピーはできないそうですが、カーボン用紙を使えば法規制もクリアできます。それをファイルに入れてお渡しする。ファイルの形状によっては写真や手紙を入れることも可能です。一生の記念になりますし、場合によっては危機になった場合の抑止力にもなり得るかもしれません。いかがでしょうか。
◯秋山芳彦市民健康部長 大変貴重なご提案をいただいたと思ってございます。記念品といいますと、どうもお祝いの品物というイメージがあったわけでございますけれども、今、高田議員がおっしゃったように、届け出の本人控えをベースにしたものということで、なるほど当時の直筆のものが残るわけでありますから、これもある意味、関係の方にとっては、何年かたったときに大変思い出深いものになるものと思います。
過去にはアルバムなどをお渡ししていた時期もございました。時代の推移とともに今そうしたものをお渡ししていませんけれども、シティセールスとか定住促進など自治体の考え方もまた違う時代に今はなってきているわけでございます。したがいまして、高田議員の提案も含めまして、おもてなし、思いやり、そして思い出に残るという視点で、市長が登壇で答弁のとおり検討していきたいと思ってございます。
◯18番 高田 浩議員 ふるさと納税について質問を移します。ことし4月から3万円以上の寄附には特典をつけるあつぎ元気応援寄附金が始まっています。寄附の状況はいかがでしょうか。
◯霜島宏美政策部長 あつぎ元気応援寄附金の8月末現在の状況でございます。15件で382万6329円のご寄附をいただいております。内訳といたしましては、個人の方が5件、団体が9件、企業が1件ということで、なお、あつぎ元気応援寄附金につきましては、3万円以上の方に品物を贈呈しております。11件のうち寄附者から希望がありました9件の方に記念品をお贈りいたしてございます。
◯18番 高田 浩議員 私はこれまで5つの自治体に出向きましてふるさと納税についてヒアリングを行っております。それらで聞きますと、一般的には、11月、12月に寄附がふえる傾向にあります。厚木市は今年度、金額ベースでは既に一定の域に達していると言えます。担当課の職員の皆さんにとっては次の4つが言えます。厚木市の税収増に直接貢献できる、市内業者の売り上げにも直結する、インセンティブ予算の対象にもなる、期末勤勉手当の対象にもなり得る。担当部の皆さんにはぜひ頑張っていただきたいと思っております。
ところで、ふるさと納税でクレジットカードを使える自治体が見受けられます。具体的にはヤフー公金支払いです。私はこれまで、先ほど申し上げたとおり5つの自治体でヒアリングをしてまいりましたが、ふるさと納税の寄附者は、その自治体に何らかのゆかりがあるとは限らないようであります。パソコンの前で支払いまで全てが完結できるように整備されることが望ましいです。さらに理想を述べれば、クレジットカードの利用も可とすることにあわせて、1万円でも特典をつけるように整備することです。いかがでしょうか。
◯霜島宏美政策部長 今、高田議員のご提案のクレジットカードの活用ということでございます。仮にヤフーで手続をした場合、手数料と消費税を支払うというのが今私どもが入手した部分では入っています。今年度の場合、まだ予算措置の部分がしてございません。4月からスタートして経過も多少ということで、先ほど高田議員からは380何万円入っていると思われていますけれども、我々としてはもっとたくさん欲しいと思っています。1万円でも特典という部分は十分我々も認識しておりますので、もう少し経過を見ながら、クレジットカードの導入を含めて前向きに検討していきたいと思っています。
◯18番 高田 浩議員 特典をつける、クレジットカード利用も可とする、ふるさと納税紹介サイトを活用する、これら3つは寄附をふやすステップだと私は見ております。インターネット上にはふるさと納税の紹介サイトが無数にあります。これらの活用を考えてはいかがでしょうか。
◯霜島宏美政策部長 本市として4月から導入いたしましたこのふるさと納税、いわゆる寄附金のことでございますので、担当の者と部内でも相談しまして、専用サイトが多数あるという認識はしてございます。無料で掲載していただけるサイトもあり、私どもは今検討の中でございます。掲載内容、附帯する費用を含めて検討していきたいと思っています。
◯18番 高田 浩議員 国際交流について質問を移します。韓国軍浦市との交流を考えているということで、既存の国際友好都市交流に目を向けるとは、地方自治体の取り組みとしてはすばらしい着眼点だと思います。こども未来部と政策部とのコラボレーションだと思いますが、担当する青少年課の課長は、4月にかわった中でよくぞ実現に至る道筋を考えていただいたと思っております。
韓国軍浦市の中高生と交流をする上で、取り仕切るコーディネーターのキャラクターが大変重要になってきますが、外国語が話せるか否かは問題ではありません。楽しい空間をつくり出せるかどうかがポイントであります。この点についていかがでしょうか。
◯大高松太朗こども未来部長 高田議員がおっしゃられるように、中高生の交流ですので、照れとか戸惑いでスムーズに進まないことも考えられます。進行役というかコーディネーターがある意味重要な役割を担うということは十分認識しておりますので、当日は両国の中高生がともに触れ合い、友情を確かめられるような交流となるよう、進行には十分、人を含めて配慮してまいりたいと考えております。
◯18番 高田 浩議員 よろしくお願いいたします。私は昨年、大使館の協力を得て厚木市内でサマーキャンプを実施する提案をいたしましたが、これについても引き続き検討の対象にしていただければ幸いであります。
次に、環境政策に移ります。厚木市内における特定外来生物の分布状況の調査、対策立案を提案いたします。全国的にも取り組み事例は限られるかと思われます。逆に言うと、厚木市が始めた場合、全国に先駆ける先進事例となるはずです。いかがでしょうか。
◯栗原幹夫環境農政部長 高田議員の登壇でのお話、あるいは今の特定外来生物の分布状況の調査、対策につきましては、そのような取り組みは必要なことであると認識してございます。生物多様性の恵み、さまざまな動物や植物がつながって私たちの生活に大きな恵みをもたらしているわけで、これらを保全し持続可能な形で利活用していくことは環境面において大きな課題であると認識しておりまして、そのようなことから昨年度、生物多様性あつぎ戦略を策定したものでございます。
ご指摘の人の手によって持ち込まれた外来生物は生物多様性の保全にとっては大きな脅威でありますので、生物多様性あつぎ戦略においても具体的な取り組みの1つとして外来種等の対策を掲げてございます。
ご提案の特定外来生物の分布状況の調査でございますけれども、特定外来生物は、生態系を初め人の生命、農林水産物に被害を及ぼす危険性が高いということで、ご登壇でもご披露がありましたけれども、飼育や栽培等が規制されております。その危険性とともにどのように市内に分布しているか、正しい情報を市民の皆様にお知らせしていくことは必要なことであると考えます。
また、対策については駆除等が考えられるわけですけれども、専門性が高いという部分もございますし、また、長期的かつ広域的に取り組む必要があるということで、生物多様性あつぎ戦略を推進するために、中心的な組織として、この生物多様性あつぎ戦略を策定した際に生物多様性あつぎ戦略推進委員をお願いしたメンバーを中心に年度内に立ち上げてまいりますので、分布状況の調査方法を含めて防除等の対策についても検討を進めてまいりたいと考えております。
◯18番 高田 浩議員 詳細な回答をありがとうございます。子供への意識づけ、普及啓発としてアメリカザリガニの駆除を計画立案していただきたいです。
また、来年5月から7月の間に、パイロット事業としてオオキンケイギクの駆除を厚木市内のどこかで実施する呼びかけを行っていただけないでしょうか。環境省は地方自治体との情報交換、連携強化を打ち出しています。また、他市では自治会や中学生が駆除を行っている事例があります。年齢を問わず特定外来種について知るきっかけとなり、世代間交流や知的好奇心を刺激する効果も期待できます。ことし、荻野地区の小学校敷地内でオオキンケイギクがあったと地元自治会から報告を受けました。毎年確認作業を行い、各校で駆除する方法もあり得るでしょう。見解をお尋ねいたします。
◯栗原幹夫環境農政部長 先ほども高田議員が登壇の中でいろいろな取り組みについてご披露がございましたけれども、ご提案のオオキンケイギク、アメリカザリガニを対象とする調査、あるいは防除対策の取り組みにつきましては、身近な例でもございますし、実現性が高いのではないかと考えられます。
なお、アメリカザリガニについては、特定外来生物ではなくて、飼育などの規制対象になっていないわけですけれども、生態系に悪影響を及ぼす危険性が高いことから要注意外来生物に選定されておりまして、生物多様性あつぎ戦略においても特定外来生物と同様に扱っていきたい、市民の皆様にも広く情報提供を行ってまいりたいと考えております。
生物多様性あつぎ戦略の推進については、先ほど申し上げましたとおり、生物多様性あつぎ戦略推進委員会を中心に協議し、具体的な展開を図ってまいりたいと考えておりますけれども、ご提案の自治会や学校、あるいは企業や環境団体などと連携いたしまして防除等の対策に取り組むことは有効な方法でございますので、特定の外来種を対象とするようなパイロット事業とか、地域を限定したモデル事業、さらには子供から大人まで男女問わず楽しく参加できるようなイベントについて、生物多様性あつぎ戦略推進委員会の場で協議してまいりたいと考えております。
また、環境省が自治体の情報交換ということでございますけれども、生物多様性自治体ネットワークというものが既に組織されていることも承知しておりますので、その参加についても協議してまいりたいと考えております。
◯18番 高田 浩議員 (仮称)健康こどもの森についての質問に移ります。実施設計によると、荻野運動公園側の駐車場から休耕田・湿地エリアに向けてV字型に、長さ約160メートル、深さ最大14メートル掘って抜開、除根し、4メートル幅のアスファルト道路がつくられます。その周りには、工事用車両のためでしょうが、幅3メートル以上の敷鉄板が並べられます。さらに管理棟が休耕田・湿地エリアの中央に建設される予定であります。休耕田・湿地エリアに直結する舗装道路をつくり、年間10万人が来場するとなると、県内有数の生物多様性ホットスポットに多大な影響が及びます。
また、施設、ガイド、プログラムは人気のある公園づくりには欠かせない3要素であります。管理棟は荻野運動公園側の駐車場付近に設置し、規模も大きくするほうが望ましいです。着工開始はいつからかも含め、見解をお尋ねいたします。
◯櫛田正夫河川みどり部長 主園路につきましては、通常時の来園者のための園路として整備する予定でございます。また、緊急時に緊急用車両、あるいは管理用車両の進入路として整備するものでございます。管理棟につきましては、野外活動の研修の場や雨天時における活動の場として整備区域内の中心付近に計画することが望ましく、計画の大幅な変更はできないものと考えてございます。また、地元説明会をこの9月下旬に実施し、工事につきましては早い事業で10月中旬着手の予定でございます。
◯18番 高田 浩議員 わかりました。工事への配慮と開園後の維持管理に参加する仕組みづくりを目的に、ワーキンググループといった組織の新設を提案します。行政主導で、行政、専門家、市民団体、工事関係者による組織です。湿地や水生生物に見識をお持ちの方に参加いただくことは重要ポイントの1つであります。きっとよい方向に向かうはずであります。この場で希少種への対応、適切な時期における調査、保全、復元までかかわっていただきます。モデルは改正土地改良法に基づく環境情報協議会です。図面を見ながら、時には現場で泥臭く、膝詰めで話し合いを行えば、代替措置もかなり具体的な形が見えてくるのではないでしょうか。参加者の皆さんには公園管理棟で発表会を実施すれば、生物多様性についての啓発にもなりますし、楽しいイベントにもなります。
作業部会は調査者ばかりではなく、保全に詳しい方々にも折にふれて助言いただくことをお勧めします。神奈川県や環境省関連の公益財団法人も協力していただける用意があるようです。見解をお尋ねいたします。
◯櫛田正夫河川みどり部長 ワーキンググループの組織の立ち上げにつきましては、今後検討してまいりたいと考えております。また、構成員といたしまして、今、高田議員がおっしゃられた行政、専門家、市民団体、工事関係者の方々が想定され、希少動植物に配慮した工事方法や、開園後における維持管理にかかわる内容などを議論する場として定期的に開催していくことが望ましいと考えてございます。
◯18番 高田 浩議員 すばらしい回答ですね。現状で考えられるベストな手法です。櫛田河川みどり部長、ありがとうございます。
大幅な変更はできなくても、かゆいところに手が届く方法を実行するだけでも、結果としてかなり違いが出てきます。私は休耕田・湿地エリアでサワガニを見ました。したがって、最もきれいな水である水質階級Iであるようです。ホタルの餌となるカワニナもたくさんいます。私はこの夏、計画地でホタルを何度となく観察いたしました。
設置するライトは、ライトの目的を考えつつ、ホタルや昆虫の生態についても配慮し、考えていただきたいです。具体的には、ナトリウムランプで長波長ライト、プラス人感センサーつきがお勧めです。光が広がったり明る過ぎるライトは致命的です。ライトの高さは50センチメートル程度、大人の膝くらいのフットライトが好ましいです。いかがでしょうか。
◯櫛田正夫河川みどり部長 照明につきましては最低限としながら、設置に際してはホタルなどの昆虫の生態に配慮して波長の長い光源とし、タイマー設定などにより長時間の点灯はしない計画です。
◯18番 高田 浩議員 荻野運動公園側から休耕田・湿地エリアへと向かう長さ約160メートル、幅4メートルの道路は、舗装するならば浸透性舗装がお勧めです。実施設計を見る限り、雨水を排水する設計であることが目につきます。山の渇きと水脈への影響が懸念されます。休耕田・湿地エリアに沿った3メートル幅の舗装道路が整備されますが、歩くたびにモグラの坑道が幾つも見受けられます。見解をお尋ねいたします。
◯櫛田正夫河川みどり部長 主園路につきましては浸透性舗装にし、休耕田・湿地エリアに沿った園路につきましてはわだちのみを舗装する形状とするなど、雨水の涵養や自然環境への配慮に努めていきたいと考えております。
◯18番 高田 浩議員 新設する道路周辺における人工斜面の強度とゲリラ豪雨対策の2つについてお尋ねいたします。V字型に約160メートル、深さ最大14メートル掘ることによる人工斜面の崩壊、円弧すべり対策は、建設中や公園開園後も万全でしょうか。
いただいた資料によると、排水能力は1時間当たり115.5ミリなどです。神奈川県内では、昨年7月、93.5ミリが観測されました。また、全国の1時間降水量歴代トップは千葉県で、153ミリというものがあります。排水溝に泥が詰まれば排水能力は落ちます。これまでは里山が雨水を吸収しております。本来なら里山の保水能力に任せることが望ましいので、排水能力を上げてほしいと考えているわけではありません。動植物にとっても、水量の人工的減少に加えて、このところの気温の急激な変化に耐えられるかが気がかりであります。この排水施設で工事実施前の自然環境を担保できますか。
◯櫛田正夫河川みどり部長 現地の地形から雨水の流水方向等を検討し、主園路における人工斜面については崩壊等のないよう十分に配慮して工事を進めてまいります。また、園路の舗装を浸透舗装にするなど、自然環境への影響が最小限となるよう検討しております。
◯18番 高田 浩議員 荻野運動公園側から休耕田・湿地エリアへと向かう長さ約160メートルの道路計画地内で、ミズニラという絶滅危惧IB類の植物がこの夏確認されました。厚木市内では1993年以来初だそうです。相模川以西の確認は、現時点では箱根町仙石原だけだったそうです。ミズニラが厚木市から消滅しないようにするために、作業部会で実施計画を見ながら、工期も含めて対症療法ではない対策を立てていただきたいです。いかがでしょうか。
◯櫛田正夫河川みどり部長 ミズニラを含む希少動植物につきましては、移植などの保護活動について専門の方々と相談させていただきながら、実際に生息環境の類似した他の場所への移植を行うなど、最善な方法により進めてまいりたいと考えてございます。
◯18番 高田 浩議員 私はことし、神奈川県では準絶滅危惧種のミヤマアカネを計画地内において見ました。計画地はサラサヤンマというトンボの安定した生息地です。神奈川県では絶滅危惧IB類です。県内ではこの計画地周辺と三浦市三崎町小網代の2カ所で生息が確認されているだけだそうです。明るくない小陰を好むことから、無造作に周囲の木を切るとそれだけで危ういです。サラサヤンマの生態についてこれ以上詳細に述べることは控えますが、湿地は生物の揺りかごでもあります。工事実施期間と池の形状には十分配慮願いたいです。サラサヤンマにとって環境選択はとても脆弱です。この計画地からサラサヤンマがいなくなった場合、絶滅危惧種としてのランクが上がることになるかもしれません。見解をお尋ねいたします。
◯櫛田正夫河川みどり部長 トンボ等にとって重要な生息生育環境であるため池や湿地の再生につきましては、専門家の方々と相談させていただきながら、最善の形状にて進めてまいりたいと考えてございます。
◯18番 高田 浩議員 生物を保護する場合、特定の種だけではなく、生態系全体を保護することが重要です。計画地には神奈川県で絶滅危惧IB類のホトケドジョウが生息しております。工事中はどのようにしますか。また、開園後は生息できる環境に復元できますか。
◯櫛田正夫河川みどり部長 ホトケドジョウの生息している谷戸の水路につきましてはそのまま残す計画ですが、工事前に一時的に他の場所へ移植し、整備後に安定した時期にもとの位置へ戻すなど、専門家のご意見、ご協力をいただきながら対策を講じてまいりたいと考えてございます。
◯18番 高田 浩議員 一時的移動は、ミティゲーションと呼ばれる環境配慮の5原則に照らすと優先順位4番目であります。私は、ことし5月から9月の間に、アカハライモリを3回確認しました。以前、アカハライモリは厚木市内のあちらこちらで見られたそうですが、今は神奈川県内では絶滅危惧I類です。荻野運動公園側の駐車場から休耕田・湿地エリアに直結する4メートル幅の舗装道路整備エリアも、環境を見る限りアカハライモリの生息地と見て間違いなさそうであります。工事中や公園開園後、アカハライモリに限らず動物の適切な保護管理を行うには、対象とする種の移動回遊生態、生息場所選択のパターンを知っておくことが不可欠であります。アカハライモリの保全策について見解をお尋ねいたします。
◯櫛田正夫河川みどり部長 アカハライモリに限らず、生息している希少動植物につきましては生息環境の把握を行い、必要があれば工事前に一時的に保護し、整備後における安定した時期にもとの場所へ戻すなど、専門家の意見、ご協力をいただきながら、対策を講じてまいりたいと考えてございます。
◯18番 高田 浩議員 実施設計では河津桜その他各種桜が植えられる計画です。桜を一定期間楽しめるという発想なのでしょうが、たとえ在来種、日本原産であったとしても、人によって外から持ち込まれれば外来種であります。この点についていかがでしょうか。
◯櫛田正夫河川みどり部長 桜の種類につきましては、この地区に自生している在来種を選定する考えでおります。
◯18番 高田 浩議員 鹿児島県の事例ですが、希少動植物保護を目的に、工事関係者の方々へのお願いとする特別仕様書により配慮を呼びかけております。工事関係者の間で意識が高まることと思われます。取り入れていただきたい実例ですが、いかがでしょうか。
◯櫛田正夫河川みどり部長 工事関係者に対する自然環境への配慮の徹底は重要であると考えてございます。ご案内いただきました事例を参考に、希少動植物を見つけた場合の対応や自然環境に配慮した注意事項を取りまとめ、工事関係者へ周知徹底するなど、対策を講じてまいりたいと考えてございます。
◯18番 高田 浩議員 副市長にお尋ねいたします。(仮称)健康こどもの森の実施計画は絶滅危惧種が存在しない前提でつくられております。しかしながら、こうした事例は、全国的にも枚挙にいとまがないのが実情であります。(仮称)健康こどもの森計画地は生物多様性ホットスポットであることは私が6月定例会で述べました。しかし、厚木市には環境農政部もあれば学芸員もいます。議会で問題提起されるまでもなく知っていたはずの市役所職員が、臆することなく述べる機会があってしかるべきでありました。
アメリカのホワイトハウスには環境諮問委員会があります。環境保護庁がある一方で、この委員会は、大統領に専門的、省庁横断的見地から環境政策に関する勧告を行うホワイトハウス直属機関です。厚木市に置きかえれば、環境農政部がある一方で、政策部に環境の司令塔がある形であります。縦割り行政の弊害を避ける具体策でもあります。この方式は、日本の首長は直接選挙で選ばれますので、参考になるかと思います。
生物多様性は行政にとってまだまだ新しいキーワードなのかと思います。全国自治体にとっても、各部署間における環境政策のばらつきに対して一定の方向性を与える制度設計は今後の課題なのだとも思われます。私も研究いたしますので、厚木市も具体的に考えていただけないでしょうか、見解をお尋ねいたします。
◯鈴木 勲副市長 ただいまご質問ありました内容につきまして、平成5年に都市計画決定をして29ヘクタールの拡張区域を決定した時点でオオタカの存在は既に確認されてございました。その後、オオタカの生息等に配慮しつつ現状維持に至ったわけですけれども、この場の中では6ヘクタールを(仮称)健康こどもの森の区域として整備していく予定でおります。
特に生物多様性につきましては、本年3月に策定いたしました生物多様性あつぎ戦略の策定におきましても、庁内の検討委員会を設置した中では、連絡調整につきまして綿密な配慮を行う中で策定してまいりました。今後におきましても、内部関係部署における生物多様性に係る意識の醸成につきましては積極的に図っていきたいと思います。