絶滅危惧種を間引く稀なケース
外来種アマゾントチカガミの駆除。そして、ミクリの繁茂が課題となって来た広町公園。ミクリは、国では準絶滅危惧種。神奈川県では、絶滅危惧Ⅱ類です。しかしながら、水質も良く無農薬などの条件の下、広町公園は環境が良すぎるようです。このままでは水中に光が届かないことに加え、池が次第に陸地化することも想定されます。
アマゾントチカガミは浮草です。全国的には少なく、まだ外来生物法で指定されていませんが、その繁殖力は旺盛で、なんらかの指定はこれからあるとも思われます。広町公園の真横には荻野川があり、荻野川は相模川へと合流しています。人為的に持ち込まれた可能性もある外来種。荻野川への流出を食い止めねばなりません。
向上高校生物部は2011年、広町公園でオオフサモやホテイアオイを約4トン駆除しました。その5年後、今度はミクリです。橋を挟んで片側の池を覆い尽くしています。
環境省にミクリを間引いてよいことを確認。種の保存法に基づく国内希少野生動植物種一覧に載っていないためです。レッドデータに載っていても法的規制はないともいえます。但し、神奈川県レッドデータによると、川崎市宮前区、横浜市戸塚区、海老名市、座間市などでは絶滅が確認されています。絶滅危惧種を間引かざるを得ない広町公園。稀なケースです。
環境省職員からミクリの取り扱いについて、神奈川県に県職員が一報後、私が報告するのが宜しかろうとの助言を受けました。神奈川県職員(農学博士)には2016年9月2日、あつぎこどもの森公園を見て頂いた後、広町公園にも立ち寄りました。
この日は台風直後であったため、倒れたミクリも見受けられました。植物や魚類、昆虫等、それぞれに見識を持つ市民も交えて協議した結果、80%間引くとの見解に。3年後にはまた手入れが必要となることでしょう。移植する場合、水系によって遺伝子が繋がっているため、遺伝子汚染への配慮が大事です。川とは繋がっていないぼうさいの丘公園やビオトープなど何カ所かに移植することも考えられます。それは思わぬ要因から、ミクリが広町公園から減少した場合へのリスク管理になります。
参考 生物多様性基本法第3条第1項 地域の自然的社会的条件に応じて保全
翌年、中学生らとミクリの間引きを実施(2017年6月22日)