2016年9月厚木市議会一般質問

 2016年9月6日、次の質問を行いました。広町公園は、絶滅危惧種を間引かざるを得ない稀なケースに直面しています。その対策を提案しました。

(1)児童虐待対策について
   ア 体制について

(2)公園管理について
   ア あつぎこどもの森公園について
   イ 広町公園について

児童虐待対策の現状と今後の対応は

 児童虐待を誰にも相談できず、市役所に電話をしてきた市民の立場に立った場合、まずどうしてほしいと思うか。
 こども未来部長 その方が何を望むかをまずは丁寧に聞き、対応することが一番大切ではないかと考えている。
 市民からの虐待案件の電話はSOSである。一度でも電話があれば、すぐに訪問することが大切であるため、機動力、一歩外に出るという姿勢の転換を提案する。現場に行かないと分からないことがたくさんあるため、実動部隊が必要ではないか。見解は。
 こども未来部長 来てほしい、話したいという方にはすぐに対応しているが、まだ今は会いたくないなど、さまざまであるため、ケースごとに考えていきたい。また、関連部署ともいろいろな方面から連携、連絡して対応している。
 児童虐待について、年次報告書を厚木市ホームページで公表することを提案する。相談件数と訪問件数、相談内容区分などを掲載することにより、第三者の目線が入ることを職員に意識してもらう、また、虐待防止への市民意識の向上という二つの効果が期待できるが、いかがか。
 こども未来部長 
  公表により、市民の関心が高まり、虐待防止への理解が進むことが期待できるため検討したい。

 以下は、一般質問全文です。

◯7番 高田 浩議員 (登壇)私は先日、児童養護施設を訪問してきました。80%が虐待による入所だそうです。福祉の分野である虐待対策は、一般に認知度が低く、仕組みも弱いと感じております。
 厚木市では、2014年以降、3年連続で全国ニュースとなった児童虐待死事件が発生しております。私は、今回、自治体としてできる仕組みづくりの補強策を議論したいと思っています。福祉は事件の予防ができるためであります。
あつぎこどもの森公園には、特定外来生物であるウシガエルが入り込むようになっており、ことしだけで40匹ほど捕獲されています。私は、9月2日、神奈川県職員らと現場で二、三匹確認しました。ウシガエルは国際自然保護連合の世界の侵略的外来種ワースト100及び日本生態学会の日本の侵略的外来種ワースト100に選定されています。この件について環境省に話したところ、ウシガエルは悪食で知られており、口に入る大きさであれば、ほとんどの動物を食べてしまいます。このような種が生息していれば、水生生物の多様性を高めることへの障害となることは確実ですとの反応でした。また、アフリカツメガエルは、ことしだけで328匹捕獲されています。
 あつぎこどもの森公園は、今、トンボの天国です。神奈川県では絶滅危惧I類であるホトケドジョウも無数にいます。3年前とは比較にならないほど生物多様性が高まっています。開発して成功した事例であります。
皆さんは、最近、荻野地区にある広町公園に行ったことはありますでしょうか。アマゾントチカガミという浮き草が確認できます。全国的にはまだ少なく、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律で指定されていませんが、その繁殖力は旺盛で、今後何らかの指定はあるかと思われます。また、絶滅危惧種ではあるものの、ミクリという植物が繁茂し過ぎており、池を覆っている状態です。それぞれの対策について明快な答弁を期待しております。

◯名切文梨副議長 市長。

◯小林常良市長 (登壇)ただいま高田浩議員から、児童虐待対策について、体制について、今後の方針はとのお尋ねでございますが、虐待の背景は複雑多岐にわたり、保護者等への対応も難しいことから、組織体制の強化は必要であると認識しており、これまでも係相当から課へ組織変更を行い、また、職員及び福祉相談員を増員するなど体制の充実を図ってまいりました。今回の児童福祉法の一部改正により、児童及び妊産婦の福祉に関し、必要な支援を行うための拠点の整備に努めることや、要保護児童対策地域協議会への専門職の配置が義務づけられました。このように、児童虐待防止対策の強化が求められておりますので、今後につきましても、全国に先駆けて作成した対応マニュアルを活用し、より一層の体制強化を図り、職員等の資質向上に努めてまいります。
 次に、公園管理について、あつぎこどもの森公園について、方針を問うとのお尋ねでございますが、あつぎこどもの森公園は、里山の豊かな自然環境を生かして、遊んで学んで元気になれる自然体験活動の新たな拠点となる施設の提供を目的とし、希少野生動植物への影響を与えぬよう、地形の改変を最小限に抑えて整備いたしました。管理方針につきましては、自然観察団体の皆様が中心となり組織されたあつぎこどもの森クラブと協働し、この豊かな自然を守り、育てながら維持していくことを方針としております。また、来園者が安心安全に利用していただけるよう、公園の施設管理に努めてまいります。
 次に、広町公園について、方針を問うとのお尋ねでございますが、広町公園につきましては、荻野川周辺の田園風景や湧水などの自然を生かした水辺空間を創出することを目的として整備いたしました。なお、植栽につきましては、厚木植物会から助言をいただき、荻野地域に自生する植物の保全に配慮しております。管理方針につきましては、自然豊かな水辺環境を守り、維持していくことを方針としており、来園者が安心安全に利用していただけるよう、公園の施設管理に努めております。

◯7番 高田 浩議員 答弁ありがとうございます。
虐待死事件の具体例を申し上げることはとてもつらく、忍びないことでありますが、ことし2月、母親が小学校1年生の長女と幼稚園児の次男の首を絞めて殺し、小学校5年生の長男をも殺害しようとしたことで逮捕された事件が起きました。その母親は、厚木市の相談窓口に何回か電話をかけてきたそうですが、具体的にはどの課に何回かけてきたのでしょうか。

◯小瀬村寿美子こども未来部長 こども未来部家庭相談課に女性相談ということでご本人の心理的な悩みなどを5回にわたってお電話をいただきました。詳細の資料はないのですが、ほとんどがご家庭の悩みだと把握しております。

◯7番 高田 浩議員 1回目の電話以降、厚木市の担当課はどのような対応を行いましたでしょうか。

◯小瀬村寿美子こども未来部長 ここで詳細な内容を申し上げることができませんが、女性相談ということで、ご家庭のご相談でございましたので、記録をとり、その中で会議をしたということでございます。

◯7番 高田 浩議員 後で申し上げますけれども、内向きの会議ではなくて、とにかく電話がかかってきたら行くということが大切だと思います。あと、ここの課には特定のこと、神奈川県の相談所には違うこと、ほかのところには違うことというふうに分けていることがよくありますので、行ってみないとわからないということは申し上げたいと思います。
家庭相談課には、現在4人の福祉相談員と4人の厚木市職員が配置されております。市民から家庭相談課に電話があった場合、福祉相談員と厚木市職員のどちらが最初に対応するのでしょうか。

◯小瀬村寿美子こども未来部長 先ほどの電話相談の件数ですが、女性相談として6回でございました。
それから、1回電話があったら、すぐ行ってみなければわからないというようなお話でしたけれども、全ての電話で住所やお名前が聞ける場合と、そうでない場合がございます。聞けなければお伺いすることはかなわないということでございまして、これ以上詳細には言えませんけれども、そういうことでアプローチができなかったという経過で、これ以外にもそういうケースはたくさんございます。
 それから、電話の相談でございますが、現在、虐待については家庭相談課の福祉相談員が4人、正規職員が4人いるわけですが、児童虐待と女性相談・DVの大きく分けて2つの仕事を兼務しております。その担当業務というのは、相談以外にも、当然相談した結果を調書にまとめ、児童相談所などと相談して調整するケース会議を開く、関係部署にまた関係の会議を開くということで、他ケースとのケース会議などをほぼ毎日のように行っている状況でございまして、相談だけずっとできるという状況ではございません。
児童虐待、女性相談というのは大変複雑多様化しておりまして、相談の背景なども十分な知見がない中で、うかつに対応すべきではないということは言えますし、かえって問題をこじらせることが今までも危惧されておりますことから、問題に的確に対応するためには、現在、それぞれに福祉相談員と女性相談員を配置し、専門的見地から相談に当たっているところでございます。
 このように、一般事務職以外の専門的な識見が必要な業務にあっては他の自治体でも同様でございますが、児童福祉に関する経験者などを配置しており、効果が出ているということもございまして、特に今回の児童福祉法の一部改正についても専門職員の配置を義務づけたのだと考えております。このように、事務職員と福祉相談員がそれぞれ別の役割を持っていることから、まず最初に福祉相談員が電話を受けるという仕組みになっております。

◯7番 高田 浩議員 住所や電話番号が聞けないというのは、もしかしたら力量や、家庭相談課の姿勢の問題かもしれません。
市民健康部にお尋ねします。議員資料請求によると、家庭相談課による訪問件数は、2015年度において172回、大和市は519回、海老名市は235回、伊勢原市は341回です。厚木市家庭相談課の福祉相談員は4人ですので、172回を4で割ると、福祉相談員1人当たりの訪問件数は年間で43回となります。
 厚木市健康づくり課の保健師は、虐待も扱っております。昨年度は保健師11人に加え、非常勤職員は5人で、訪問件数は3591回だったそうです。年間訪問件数3591回を16人で割ると、1年間に1人平均224回訪問した計算となります。今申し上げた事例は、それぞれの仕事の役割に違いがあるでしょうから、一概に家庭相談課と単純に比較することはできませんが、参考にはできると思います。
虐待案件となり得る家庭を訪問する場合、健康づくり課で心がけていることはありますでしょうか。

◯岩澤栄一市民健康部長 妊産婦や乳幼児を対象といたしました健康診査を初めとして、訪問指導や健康相談におきまして、広く妊産婦と接触する機会がありますことから、悩みを抱えている方を早期に発見し、適切な支援につなげるとともに、虐待の発生予防や早期発見に努めているところでございます。ただいまご質問がありました虐待が疑われる家庭に対しましては、丁寧にかかわりを持ちながら保護者との信頼関係を築くことに心かげるとともに、継続した支援を行い、相談者には心に寄り添いながら対応している状況でございます。

◯7番 高田 浩議員 神奈川県の児童相談所と厚木市家庭相談課の人事交流を提案します。厚木市からは事務職の派遣が望ましいです。人事交流を模索してはいかがでしょうか。

◯青木達之総務部長 本市では、神奈川県との人事交流を積極的に行っております。人数としては、厚木市職員2人を神奈川県に、神奈川県職員2人を厚木市へ受け入れている状況でございます。
ご提案いただきました神奈川県の児童相談所との人事交流につきましては、厚木市の担当部の要望に基づき、神奈川県と調整してまいりたいと考えております。

◯7番 高田 浩議員 児童虐待について年次報告書を厚木市ホームページに掲載することを提案いたします。相談件数と訪問件数、相談内容区分などを厚木市ホームページに掲載することにより、2つの効果が期待できます。1つ目は第三者の目線が入ることを職員に意識してもらうこと、2つ目は虐待防止への市民意識の向上ですが、いかがでしょうか。

◯小瀬村寿美子こども未来部長 児童虐待の年次件数については、現在、既に神奈川県所管の児童相談所別に相談件数を発表しておりますことから、厚木市の相談件数を公表することも可能ではないかと考えております。厚木市の状況を公表することによりまして、高田議員がおっしゃるように、市民の皆様の関心が高まることや虐待防止への理解が進むことにもつながると期待できますことから、検討したいと考えております。
 ただし、神奈川県のホームページでは、政令市を除く中央児童相談所や平塚児童相談所、厚木児童相談所など、それぞれの件数や年齢などを年次別に公表しておりまして、公表に当たって厚木市1市だけを出すことになりますと、相談内容の種別によっては相談者が特定される危険性が全くないとは言えないと考えておりますので、十分な配慮を持って取り組みたいと考えております。
 先ほども高田議員がおっしゃったように、電話で名前や住所を言っていただけないのは、厚木市に相談して自分のありのままを伝えるのが嫌だという方も大変いらっしゃるのだと思います。そういうことも含めまして、ホームページにも気をつけながら公表したいと考えております。

◯7番 高田 浩議員 私は、地方公務員と、厚木市で言えば、家庭相談課で相談を受ける立場の複数の現職、元職も含めて話をしました。その中では、電話がかかってきた人にはほとんど100%会ったという人もいました。ですから、こちらの意識、場合によっては力量の問題かもしれません。
家庭相談課の福祉相談員1人当たりの担当ケース数という尺度で考えてみてはいかがでしょうか。神奈川県児童虐待による死亡事例等調査検証委員会は、2014年8月、児童虐待による死亡事例調査検証報告書の中で、神奈川県の児童相談所において担当ケース数が1人平均100ケース以上であることは明らかに多いため、確実に月1回は家庭訪問に行けることを踏まえ、1人当たり30ケースから50ケースを目安として考えていくことが望ましいと指摘しています。厚木市家庭相談課において、2015年度の取扱件数は130件でした。福祉相談員1人当たりの取扱件数の上限を検討すれば、おのずと適正な配置人数が見えてくるはずですが、いかがでしょうか。

◯小瀬村寿美子こども未来部長 平成27年度の児童虐待対応の件数は、平成27年度に新たに発生したケースが130件でございまして、平成26年度以前に受理した継続件数67件と合わせて197件を取り扱っております。現在、家庭相談課には福祉相談員が4人おりますが、家庭訪問や先ほど高田議員がおっしゃった取扱件数などについては、専門の正規職員で訪問した件数で、例えば大和市の519回については11人の職員がいるので、1人当たりで割り返すと47回、厚木市も職員の兼務を分けまして割り返しますと49件の対応ということで、大和市や伊勢原市、海老名市等と大きな違いがないという状況でございます。
 ケースの担当でございますが、どのくらいが適切かという基準は、確かに今まで明確にございませんでしたが、児童福祉法の一部を改正する法律の中では配置基準についても考えるべきだということも示されておりますことから、神奈川県でもこの説明会がございましたが、今後そういうところも示していくというお話をいただきました。特定の福祉相談員に負担がかからないように、担当するケースの重篤度につきましても、考慮しながら職員と分担している状況でございます。

◯7番 高田 浩議員 虐待対策に関する先行研究は幾らでもあります。一例として、九州看護福祉大学の教授であった梶原和子氏は、児童虐待担当部署にTQC、総合的品質管理における品質保証の考え方を導入することを提唱しております。TQCにおける品質保証とは、製品の品質はもちろんのこと、顧客が要求する品質を保証するための体系的活動であります。
 TQCの基本的な考え方は4つに分けられます。1つ目は、関連する全ての組織で全ての段階で全員が方針を共有して活動を実施する。2つ目、個々の活動に当たっては、目標の設定と実施計画の策定、計画の実施、実行状況のチェック、PDCAサイクルを回す。3つ目として、具体的活動の展開に当たっては、5W1Hで展開し、責任と権限を明確にする。4つ目として、以上の実行状況を監視、評価するものである。今申し上げた中で、特に責任と権限を明確にする、実行状況を監視、評価することについて見解をお尋ねいたします。

◯小瀬村寿美子こども未来部長 高田議員が今ご紹介いただきました論文については2005年に発表されたものでございまして、児童虐待対策として当時はとても示唆に富んだものと言われておりました。その後、国においても虐待で死亡に至った事件などの検証作業が済みまして、特に論文で提案されているようなTQC理論、PDCAサイクルの理念については、現在、要保護児童対策地域協議会でのケース管理手法として既に市町村に導入されており、要保護児童対策地域協議会において、まず支援計画、次に計画に沿った支援実施、ケース進行管理、課題と対応策の再検討を実施するなど、PDCAサイクルによる事業展開を行っております。
 さらに、厚木市では、全国に先駆けて作成いたしました居所不明児童等に係る要保護児童対策地域協議会対応基準がございまして、これは全国においてのマニュアル作成の参考として活用されている状況からも、児童虐待対応に関する業務の品質は一定の基準にあると考えております。
 なお、論文で提案されております責任と権限や実行状況の監視、評価に関しましては、特に司法の介入や親権に関しての法的拘束力など、国による統一基準を示されることが必要であるということは各方面からも指摘されておりまして、専門家による研究が進み、各市で有効な対策がとれることを期待するものでございます。

◯7番 高田 浩議員 PDCAサイクルが市町村に導入されていたとしても、機能しているかどうかが問題です。厚木市福祉相談員規則第4条において、「相談員は、福祉に関し豊かな見識を有する者のうちから、市長が委嘱する。」とあります。つまり、資格要件には触れていません。資格要件を明記することをお勧めいたします。
第6条において、「相談員の勤務日数は、1月につき15日とする。」、「相談員の勤務時間は、1日につき7時間とする。」とされています。家庭相談課による訪問件数は、2015年度において172回であったことからわかるとおり、家庭相談課は、今、訪問に力点を置いていないように見受けられます。職員が児童虐待を専門として配置された場合、その職員の心のケアも課題となるでしょうから、今のような体制になったことは理解できます。ただし、誰にも相談できず、市役所に電話してきた市民の立場に立った場合、まずどうしてほしいと思いますでしょうか。

◯小瀬村寿美子こども未来部長 福祉相談員の資格要件のことをおっしゃっているのだと思いますが、今までは、福祉相談員規則第4条で資格要件については触れておりませんでしたが、今回の児童福祉法の改正に当たって、厚生労働省が設置いたしました新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会の中の報告でも、現在の児童福祉法では児童相談所の任用要件についても十分ではなく、同様に、基礎自治体の職員配置についての基準は必ずしも明確ではなかったと報告されております。今回の改正によりまして、市町村も新たな任務を担うに当たって、従事する職員の資格要件及び配置基準を規定する必要があると書かれておりますことから、本市でも基礎自治体の支援拠点を整備し、基幹連携の主体として十分に機能できるようにするためにも、職員の専門性の確保や向上が求められるということに鑑み、専門的な職員を配置する体制の強化とあわせて、福祉相談員の要件や相談体制のあり方についても総務部等と調整していきたいと考えております。
 ご相談の方について何を求めるかというのは、1つの答えだけではありません。いろいろな方がいらっしゃいまして、お話しするだけで満足する方もいらっしゃれば、具体的に会ってお話ししたいという方もいらっしゃいます。実際に、昨年度の取扱件数の中でも、その後面談を行った、ファクスで紙をよこした、電話した、来所したといろいろなケースがございました。ですから、その方が何を望むかということをまずは丁寧にお聞きして対応することが一番大事なのではないかと考えております。

◯7番 高田 浩議員 つまり、今の体制だと、福祉相談員は月の半分しか来られないです。電話してきた人が、もう1回電話しても別の人が出るという状況になります。このあたりを検討していただければと思います。
市民からの虐待案件の電話は、つまりSOSです。SOSを出してきた人には1対1の信頼関係の構築が必要です。1度でも電話があれば、すぐに訪問することが大切です。つまり、機動力、一歩外に出るという姿勢への転換を提案いたします。
 現場に行かないとわからないことや報道だけではわからないことがたくさんあります。実動部隊が必要ではないでしょうか。見解をお尋ねいたします。

◯小瀬村寿美子こども未来部長 確かに福祉相談員の人数が他市に比べて少ないとか、月15日の出勤ですので、常に電話に出られないという状況はおっしゃるとおりでございます。ただ、相手によっては常に同じ福祉相談員と話したいという方もいらっしゃれば、違う方の意見も聞きたいという方もいらっしゃいまして、ご相談の内容やご希望もさまざまでございます。
また、家庭相談では、複数で見て聞いて判断したほうが的確な答えが出るというケースも多々ございます。そういうことから複数人ふやすことも必要ですし、ふやしたからといって1人だけで対応するという危険性も一方ではあると思いますので、そこについては、それぞれのケースに対して対応していきたいと考えております。
 また、すぐに訪問したほうがいいということでございますが、再三申し上げているように、来てほしい、話したいという方にはすぐ対応しております。ただ、まだ今は会いたくない、家では会えない、ほかのところにも行きたくない、場所を変えるのも嫌だという方もいらっしゃいまして、さまざまでございます。ですから、訪問したことによって「何で来たんだ」と言う方も現にいらっしゃいましたので、そういうことについても、それぞれのケースごとに考えていきたいと思っております。
さらに、家庭訪問でございますが、先ほど簡単にお話し申し上げましたが、訪問件数については、それぞれの職員に対しての平均を出しますと、近隣の市町村では30回から40回程度ということで、職員1人当たりで大きな違いはございません。
 また、家庭相談課だけではございませんで、子育て支援センターのこんにちは赤ちゃん訪問事業を434回、養育支援事業を298回実施しておりまして、そのうち300件程度を面談させていただいたり、来所していただいたりということで経過観察をしておりまして、先ほどの健康づくり課もそうでございますが、関連部署ともいろいろな方面から連携、連絡して対応しているところでございます。

◯7番 高田 浩議員 現状の方式を肯定しているのでしょうけれども、例えばことし2月の事件とかは、仮定法過去完了で、このときこうだったら違ったのではないですかと言いたくなります。
 2014年に明るみになった斎藤理玖君死亡事件からわかるとおり、担当者と管理職による楽観的判断が入り込む余地が生じると、想像を超えた思わぬ事件が発生します。家庭相談課が虐待情報を一元管理し、進行管理及び最終的な責任を負う組織として生まれ変わることを望みます。
 厚木市は、機構改革を行い、市民健康部健康づくり課母子保健係の一部をこども未来部所属とすることは現実的な選択肢だと思われますが、いかがでしょうか。

◯青木達之総務部長 組織の関係と専門職の配置という観点で総務部からお答えさせていただきたいと思います。現在においても、今出ました健康づくり課、こども未来部関係部署と児童相談所関係機関とは連携して迅速に対応していると考えておりますが、さらなる連携ときめ細かな対応を図ることが重要であると強く認識しているところでございます。そういうことで、組織体制の一層の強化を検討していきたいと考えております。
 あわせまして、市町村要保護児童対策地域協議会の調整機関に専門職の配置が義務づけられました。そういうことで、家庭相談課に必要となる専門職の配置も検討していきたいと考えております。

◯7番 高田 浩議員 あつぎこどもの森公園の質問に移ります。私は、6月定例会議の一般質問で自然再生推進法を紹介いたしました。この法律そのものを既に開園しているあつぎこどもの森公園に適用することは困難ですが、そのスキームを使うことはできます。自然再生事業実施計画をつくっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

◯足立原 満河川みどり部長 自然再生推進法が規定する自然再生事業実施計画として維持管理計画の策定を、地域住民や自然保護の専門家等で構成されたあつぎこどもの森クラブと協働で、里山と里川の生態系の保全と修復を研究している専門家にご協力いただきながら進めてまいります。この維持管理計画では、公園内の動植物に配慮した樹木の干ばつ、下刈り、湿地の管理、ため池の管理、希少種の保護及び外来種対策等についての計画を策定していきたいと考えております。

◯7番 高田 浩議員 よろしくお願いします。
鳥類その他動植物の総合的なモニタリング調査が必要だと考えます。管理方針の基本的情報となる3年または5年に1度の総合的なモニタリング調査の実施は不可欠ですが、いかがでしょうか。

◯足立原 満河川みどり部長 確かに今のあつぎこどもの森の生態系について、開園前、開園後でどのように変化していくかというのを継続的に調査していくことは非常に重要だと思っております。その中で、あつぎこどもの森におきましても、あつぎこどもの森クラブの方や学識経験者、観察団体の方たちと一緒に毎月調査を行っておりますので、先ほど高田議員もトンボの種類が非常にふえているという、逆にいい結果にもなっているものを調査し、来園者にも今後広めていきたいと思っておりますので、3年、5年と言わず、引き続き調査は行ってまいりたいと思います。

◯7番 高田 浩議員 ちょっと意味が通じていないのかもしれませんけれども、霜島副市長にお尋ねいたします。3年、5年というのは、今のあつぎこどもの森クラブがトンボ、魚類、動物や植物とかの総合的なモニタリング調査をしているのとは別の話なのです。それで、維持管理計画を策定する意義として、11億円以上をかけてつくった公園について、厚木市が事業成果の判断基準を持つことになります。
 日本では、公園をつくったものの、予算をかけないというのはよくある話であります。定期的な調査の意思がないのなら、今後、場合によっては生態系が劣化していくかもしれません。見解をお尋ねいたします。

◯霜島宏美副市長 ことし3月12日に開園して、10万人の予測をはるかに超えるスピードで来園いただきました。これは、今、高田議員がおっしゃるとおり、あそこにあつぎこどもの森をつくった市民の皆様、自然保護団体の方々、地域の方々の協力によってあの自然が、人の手が入った中で再生されて、ここに息づいていると感じています。将来、あつぎこどもの森を子供たち、高齢者を含めて市民の方々の憩いの場所、体験の場所として長く続いていくためには、そういう調査をしながら費用対効果も含めてしっかりと受けとめさせてもらって、経営、維持管理をしていきたいと考えています。

◯7番 高田 浩議員 河川みどり部と環境農政部にお尋ねいたします。ウシガエルの駆除は、あつぎこどもの森クラブに所属する一部のエキスパートに頼っているのが実情であります。金銭的にも持ち出しのボランティアである今の形態は、5年、10年単位で考えた場合、継続できるか疑問です。後継者も見当たりません。
 そこで、2つ提案があります。1つは、東京都世田谷区にあるNPO、プレーパークせたがやなどの公園の一部の管理を担っている形態を参考にすることです。
 もう1つは、環境農政部長への質問ですが、国の生物多様性保全推進支援事業があります。環境省にあつぎこどもの森公園と広町公園の外来種対策について話したところ、交付金が出る生物多様性保全推進支援事業に申請してはどうかと勧められました。支援メニューとして、特定外来生物防除対策があります。幾つかの主体が集まれる協議会の場をつくり、生物多様性保全推進事業に申請することについて見解をお尋ねいたします。

◯足立原 満河川みどり部長 あつぎこどもの森クラブにつきましては、高田議員が言われるように、確かに自然観察が好き、自然の動植物が好き、農業体験などもありますが、自分たちがいろいろと観察したり行ってきたことを子供たちや大人にも広く教えていきたいというボランティアの方たちにお集まりいただいております。今、資金というお話が出ましたけれども、ある程度手弁当という言い方をするとどうかと思いますが、ボランティア精神の1つで行っていただいておりまして、本当に感謝しております。
 今お話が出たプレーパークせたがやのような方法もあるという中で我々が今目指していることは、あつぎこどもの森クラブがもっと充実し、皆様があつぎ子どもの森公園をもっとよくしていこうという中で当然参加料はいただいていますが、将来的に、あつぎこどもの森クラブがNPOのような非営利団体になっていただいて、ある面では料金をいただいてのイベントを開催し、資金面でも自立していただくことを目指して、今あつぎこどもの森クラブの方たちに一生懸命行っていただいていますので、十分プレーパークせたがやと同じようにいけると思っております。

◯小島利忠環境農政部長 高田議員のご質問は、生物多様性保全推進支援事業への申請の考え、また、協議会設置の考えということだと思いますけれども、特定外来生物につきましては、本市でも市内各所で見受けられますオウキンケイギク、また、先ほど高田議員が登壇でも言われましたあつぎこどもの森公園で確認されておりますウシガエルなどの対策が求められておりまして、現在も市民協働によりまして取り組みが進められております。
 そうしたことから、環境省の補助制度でございます生物多様性保全推進支援事業につきましては、協議会の設置も含めて対応してまいりたいと考えてございますけれども、広域的な課題等もございますので、まずは自然保護団体の皆様のご意見などを伺いながら進めてまいりたいと考えております。

◯7番 高田 浩議員 広町公園のミクリという背の高い植物の移植についてお尋ねします。橋が池の真ん中にあるのですが、片側の池を完全に覆い尽くしています。ミクリは、国では準絶滅危惧種、神奈川県では絶滅危惧II類です。しかしながら、水質もよく、無農薬の条件のもと、広町公園は環境がよ過ぎるようです。このままでは水中に光が届かないことに加えて、池が次第に陸地化することも想定されます。
 ただ、ミクリを移植するにも数には限界があります。ミクリは絶滅危惧種ではありますが、間引いて構いません。絶滅のおそれのある野生植物の種の保存に関する法律に基づく国内希少野生動植物種一覧に載っていないためです。今回、絶滅危惧種を間引かざるを得ないというまれなケースです。
 私は、9月2日、神奈川県職員や、植物、昆虫、魚類などに見識を持つ市民と広町公園を訪れました。協議した結果、80%を間引くという見解となりましたが、いかがでしょうか。

◯足立原 満河川みどり部長 確かに、今、高田議員がおっしゃるとおり、広町公園の池にミクリが大分繁茂していることは、私どもも確認しております。その中で、厚木市としては、絶滅危惧種に指定されているものを移植することがまず可能なのかどうか、高田議員もその辺については当然お調べになると思いますけれども、厚木市としても管轄しています環境省自然環境局野生生物課や神奈川県環境農政局緑政部自然環境保全課に、絶滅危惧種であっても移植することは可能だということを確認させていただきました。
 それで、移植することは可能になりましたが、私どもも絶滅危惧種を移植するという経験がございません。それで、専門家の方たちにもある程度ご意見を伺っております。その中で、今、高田議員がおっしゃるとおり、我々も絶滅危惧種を80%まで移植してもいいのかどうかにつきましては、本当にまだ経験がございませんので、移植する時期もある程度ご教示いただいておりますので、もう少し研究して、いきなり80%がいいのか、それとも少しずつ様子を見ながら行うのがいいのかということにつきましては、80%を1つの目標にしながら、適期を捉えて移植していきたいと考えております。

◯7番 高田 浩議員 広町公園にはかなり大型のコイがいます。池のどこにでも泳いでいける設計となっていますので、少なくともコイが泳げるエリアを限定してはいかがでしょうか。コイは小魚や水草を食べるため、生態系を根底から崩します。見解をお尋ねいたします。

◯足立原 満河川みどり部長 確かに大分大きいコイもいます。ただ、やはり我々も見ていると、コイを楽しみに来られている来園者も当然いると思います。今、高田議員がおっしゃるとおり、確かにいろいろなものを食べてしまうというのもありますし、あの池の広さに適した数があると思いますので、1度はある程度間引いたことはあるのですけれども、全部を駆除するのか、それとも何匹か残すのか、その辺につきましては、今後もう少し研究というか、状況を見ながら判断して対応してまいりたいと思います。

◯7番 高田 浩議員 学校教育部長にお尋ねいたします。今後行う広町公園における手入れを近隣の小・中学校の環境教育に活用できないかです。生き物調査などを一緒に行ったら児童・生徒は喜ぶかと思いますが、いかがでしょうか。

◯須藤雅則学校教育部長 今いただきましたお話でございますが、学校の授業にそのままストレートに位置づけて実施というのはなかなか難しいかと思いますけれども、そうしたことに興味関心の高い児童・生徒もおると思っておりますので、そういう生徒たちにとっては観察体験の貴重な機会になると考えております。