厚木市議 高田 ひろし on the web 
タウンニュース(1996年10月25日)一面トップ記事より

厚木市納税貯蓄組合  報償金制度に疑問符

---広がる見直しの声---

 サラリーマンなどには耳慣れない「納税貯蓄組合」に対し、市町村から報償金が支払 われて来たことは違法であるとし、今、県内では多くの市町村が報償金を廃止したり、 減額する方向に動いている。今回は厚木市の現状をリポートする。

 昭和二十六年、国や自治体の税金収納率をアップさせるために、制定されて納税貯蓄 組合法。これに基づき設立されたのが、納税貯蓄組合で、おもに農業や商店など事業所 得者が加入し、口座振替によって、税の収納率を高め、また市民に納税意識をPRしてき た。

 厚木市の場合は、現在二O三の組合があり(加入者数一一、二九五名)、昭和四十二 年に厚木市納税貯蓄組合連合会(大塚連合会長)として組織されている。

 組合員の口座振替も非常に進み、平成七年度では固定資産税の60%以上が振替を利 用しているので、個人納付率も高く、その結果収納率も高い数値を示しているという。  厚木市では昭和四十五年から同組合に「報償金」の支給が開始されている。今年度は 同組合に対して約13OO万円が支払われた。

 問題となっているこの「報償金」については、 九月の定例市議会の一般質問で高田議員から 「納税貯蓄組合への報償金について」の質問があった。それに対しての答弁の中 で山口市長は「納税貯蓄組合の存在は大きく、今後も大きな役割を果たしてもらえるも のと期待している。報償金システムについては必要に応じて見直し、整備等を行ってい く」と答弁。早急な問題解決を図る意思の無いことを明らかにした。

 更に市は、報償金の使途については「使途明細報告書に領収書を添付する必要はない 」と回答。「会計報告書は必ず提出してもらっているし、報償金の使い方についても事務費用として使うように指導している」と説明し、「本年度分はすでに支払い済みで、 減額補正することは有りえない」加えて明言した。

 一方、同組合の大塚連合会長は報償金制度について「あちことで問題になっているの は知っている。基本的には組合はボランティアとして活動している。財政が苦しい今般 、問題になるのも当然。今後もし報奨金制度がなくなっても組合は続けるつもりです」 と話している。

 同じ課題について、海老名市ではいち早く、市民が情報公開条例に基づいて、資料を閲覧。そしてその結果、組合に対し、報償金が支払われるのは違法ということで、監査請求を実施した。監査委員によってその主張が認められ、今年四月から報償金と事務費 は全面的に廃止された。また、平塚市にいたってはやはり今年八月末に、市内全ての組 合を解散するという形で決着を見た。

 組合長が組合員の自宅を訪れて固定資産税などを集めるということも現実にはほとん ど見られなくなった今日の納税貯蓄組合。同組合に対して支払われる報償金は貴重な市 民の ”税金”から繰り出されている。早急に見直しをするべきだという声が市民の間 で広がりつつあるようだ。